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  • 2012/05/23 掲載

ターゲティングや価格戦略を明確化し、個別活動へ落とし込む:企業成長をドライブする営業戦略(3)

A.T. カーニー 栗谷 仁氏/糸田 哲氏

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第2回は、営業力強化のために解決すべき6つのステップを紹介し、前半部にあたる「戦略課題の解決」のステージを中心に解説していただいた。これらセグメンテーションとターゲティングについては、いわゆるマーケティング理論とは若干異なり、営業に即した形にトランスレーションする必要がある。第3回もターゲティングの話についてお聞きする。さらに前回フォローしきれなかった6ステップの後半部、「実行課題の解決」のステージについても概要を触れていただく。引き続き「最強の営業戦略」(東洋経済新報社)の執筆者であるA.T. カーニー 栗谷 仁氏と、同社の糸田 哲氏に話を伺った。

自社の競争優位性を明らかにして、ターゲティングを

――ターゲット別に個々のアプローチをする上で注意すべき点は何でしょうか?

 栗谷 仁氏(以下、栗谷氏)■一般的にターゲティングの重要な基軸となるものは、セグメントの利益率(収益性)と、規模・成長性・競争優位性・切り替え障壁の有無などの「戦略ポテンシャル」です(図1)。

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図1■ターゲットの基本的な概念。セグメントの「利益率」(収益性)と、「戦略ポテンシャル」が重要な基軸になる

 概念的なフレームワークで考えると、企業の目的は利益を上げることですから、まず「収益」という軸が必要です。

 もう1つは、売上の規模や成長性などの「戦略ポテンシャル」です。それを単年度で見るのか、あるいは中期を含めて見るのかという話になります。できるならば今後3年ぐらいまでの収益性や成長性を含めた概念の中で、収益と売上の規模を掴んだほうがいいですね。

 それから戦略ポテンシャルの中にある「競争優位性」は最も大きなファクターの1つになります。よく「フィット」という言葉を用いますが、どんなにお客様のニーズに応えても、他社より良いモノでなければ勝てませんから、競争優位性は必須です。競合他社を超えるものは、経済的ベネフィット(価格)なのか、製品性能なのか、サービスなのか、どこに自社の競争優位性があるのか明らかにしてターゲティングする必要があります。

 糸田 哲氏(以下、糸田氏)■ターゲット別のアプローチという観点から考えると、やはり「提供価値」と「メッセージ」も重要な要素ですね。営業として、お客様にメッセージとして何を伝えたいのかということをはっきりしておく必要があります。

 よく「アンメットニーズ」(まだ充足されていないニーズ)ということが言われます。本当に重要なのはニーズではなく、アンメットニーズなのですが、これをしっかり理解している営業担当者は少ないようです。アンメットニーズは競争優位性が入った概念で、既存のサプライヤーが充足しきれていない残りの部分のことです。この部分を埋められるということは、既存のサプライヤーよりも競争優位性が高いということを意味しているわけです。これがポイントになります。

 次にお客様の各セグメントにおいて、アンメットニーズを明確にして、テイラーメイドした営業のメッセージを伝えていかなければいけません。いかに心に刺さるようなメッセージを打てるのか、これが重要です。優秀な営業担当者であれば、このアンメットニーズをお客様との会話の中から引っ張り出してこれるのです。

 通常、「このようなことがあると嬉しいですか?」というように営業側から問いかけがないと、アンメットニーズはなかなか出てきません。そこで会話のキャッチボールをしてリサーチするわけですね。とにかくニーズが充足されていない、その差分になるアンメットニーズをどうやって攻められるかで勝負が決まります。そのために図2のように、提供価値をスコアリングして自社の競争優位性を算出しておくという手法もあります。

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図2■提供価値スコアリング。アンメットニーズを意識して、自社の競争優位性を算出する

■次ページ>> 最終的な価格戦略をどう考えるべきか?

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