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  • 2016/12/27 掲載

P&Gと日立が明かす、経営戦略としてのダイバーシティ&インクルージョン取り組み事例

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4月1日に女性活躍推進法が施行され、ダイバーシティとインクルージョンは大企業やグローバル企業だけの問題ではなくなった。さらに、経済産業省(以下、経産省)は「ダイバーシティ2.0」というコンセプトを打ちだし、企業の競争力強化のための議論を活発化させようとしている。そんな中、日立製作所(以下、日立) 人財統括本部 ダイバーシティ推進センタ 部長代理の武内 和子氏とプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(以下、P&G) ヒューマンリソース アソシエートディレクターの臼田 美樹氏が各社のダイバーシティやインクルージョンの取り組みを紹介した。

フリーライター 中村 仁美

フリーライター 中村 仁美

大阪府出身。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在は主にIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。ネコと歴史(古代~藤原時代、戦国時代)好き。

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日立とP&Gからダイバーシティ&インクルージョンを学ぶ


経産省が推進する「ダイバーシティ2.0」とは

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経済産業省
経済産業政策局
経済差社会政策室室長補佐
坂井 萌氏
 経産省 経済産業政策局 経済差社会政策室室長補佐の坂井 萌氏は、ダイバーシティ推進が叫ばれる中、「現場では悪循環が起こっているのではという懸念があった」と語る。

 ダイバーシティを政府や社会からの女性の活躍に関する要請と捉えて、現場に形式的に落とし込み、成果の実感なきままに取り組みを継続し、企業経営上の効果が見えず、戦略的な経営課題に紐付かないダイバーシティになってしまっている。これが悪循環である。

 ダイバーシティの目的は2つある。1つはイノベーションだ。多様な価値観・経験による相互作用により、中長期的な企業価値の向上につなげていくのである。そしてもう1つがグローバルな競争激化、産業構造変化の加速化、少子高齢化など差し迫る外部環境の変化への対応だ。

「性別や国籍、世代、スキル、キャリアなど多様な個人が活躍し、相互作用で違いを生かす組織設計をすることが競争戦略になる。つまりそういった多様な個人が活躍できることがダイバーシティ2.0です」(坂井氏)

 しかしながら「必要性は理解していても、実践が難しいというお悩みの声をよく聞く」と坂井氏。そこで経産省では企業自体が継続的に変革するための仕組み作りの議論の場として今年8月に「競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)検討会」を立ち上げたという。

 同検討会では、ダイバーシティ2.0実現に向けた3つの視点で考えることを提案。第1の視点は経営陣の取り組みだ。事業戦略と人事戦略を結びつけてダイバーシティを経営戦略として経営トップや経営陣が捉え、全社的な課題に対する取り組みとして推進する。取り締会でモニタリングし、ガバナンスを改革していくのである。

 第2の視点は現場の取り組み。全社的な環境・ルールの整備、管理職の行動・意識改革、従業員の行動・意識改革に取り組むことだ。第3の視点は外部ミュニケーション。政府や社会、労働市場、その他の利害関係者などとコミュニケーションをとることで、ダイバーシティを加速させることができるという。

日立が取り組む「経営戦略としてのダイバーシティ」

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日立製作所
人財統括本部
ダイバーシティ推進センタ
部長代理
武内 和子氏
 日立は1910年創業の100年以上続く企業だ。一般的には家電のイメージが強いかも知れないが、売り上げの比率で最も大きいのが情報・通信システムと社会・産業システムで各2割、そのほか、電子装置システム、建設機械、高機能材料、オートモーティブシステム、生活エコシステム、金融サービスなどの事業で残りの8割を構成している。

 同社はグローバル展開も積極的におこなっており、「売り上げの半分は海外で、年々拡大している」と同社 人財統括本部 ダイバーシティ推進センタ 部長代理の武内 和子氏は説明する。

 グローバル展開が加速するにつれ、従来の日本型のメンバーシップ型雇用システムからジョブ型雇用システムに転換し、1人ひとりの仕事と評価基準を明確にしたという。同時に、従来の慣行とは異なる価値観・働き方への意識改革も行っているという。

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日立のダイバーシティ推進施策

 次に人材ミックスの促進も取り組んでいる。性別や国籍、年齢、障がい者、LGBT(セクシャルマイノリティ)などの多様な人材を受け入れ、それら多様な人材が能力を発揮できる環境づくりを継続して行っているという。

「ダイバーシティはイノベーションの源泉であり、当社の成長エンジンです。事業を拡大し続けるための成長エンジンとして推進している」(武内氏)

 同社では2000年よりダイバーシティに取り組んでいる。最初は推進の試金石として、「女性人材の活躍」を掲げ、制度を整えてきた。2006年から女性だけではなく多様な人材活用を視野に入れたダイバーシティを推進し、現在は「経営戦略としてのダイバーシティ」を推進している。

 武内氏が所属する人財統括本部 ダイバーシティ推進センタは社長直轄の組織で、経営トップの強いコミットメントで進めているという。各事業所、各グループ会社で事業タイプや人員構成が異なるので、現場の課題に即した形で推進できるよう「アドバイザリ・コミッティ制を採用し、各事業所でプロジェクトを動かしている。

 同社では特に、女性人材に注目し、数値目標も掲げている。

【次ページ】日立の女性管理職拡大2020年までの目標

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