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  • 2019/02/01 掲載

キーエンスはなぜこんなにも強いのか、営業利益率55%を叩き出す「カイゼン」とは?

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日本の現状を踏まえ、前回は営業/マーケティング現場のカイゼン――「カイゼン2.0」時代が来ると述べた。その「カイゼン2.0時代」の旗手、オピニオンリーダーとなるのがキーエンスであると筆者は考える。キーエンスはデジタル化で圧倒的な実績を積み上げ、「営業現場の自動化」に最も近い日本メーカーだ。圧倒的な営業利益率や平均年収で注目を集める同社は、なぜそんなに強いのか。筆者が独自に行った取材をもとに、キーエンスの内情をえぐった。

アペルザ マーケティング室 室長 武末健二朗

アペルザ マーケティング室 室長 武末健二朗

2009年4月より、アーサー・D・リトルでプロジェクトリーダーとして複数のメーカーの中長期経営計画策定など、さまざまなプロジェクトを主導。その後、子供服通販サイトを運営するスマービーに創業期から参画し、smarbyをママ会員数約40万人、App storeにて子供服No.1アプリにまでサービスを拡大させることに貢献。2016年11月に「earthmusic&ecology」を展開するストライプインターナショナル社に事業売却し、COOとして経営に携わる。2017年9月、キーエンス出身の石原誠率いる、製造業向け営業支援サービス/通販サイト等を運営するアペルザに入社。同社では、マーケティングや事業企画等複数の領域を統括する。


キーエンスが取り組む、営業現場におけるOMO

 キーエンスの2018年3月期の業績は売上高5,268億円、営業利益2,929億円と営業利益率はメーカーとしては驚異的な55.6%である。

 とかく「直販体制」「コンサルティング営業力」という部分に注目されがちなキーエンスだが、その強さの本質は、「1. コンテンツを軸にしたリードジェネレーションのカイゼン」と「2. 徹底された多面的な顧客管理(ナーチャリング)のカイゼン」といった営業現場におけるOMO(Online Merge Offline)にある。

 OMOとは近年中国の小売業界を中心に注目をされているオンラインとオフラインが融合した施策のことを指す。つまり、営業現場におけるキーエンスのリードジェネレーション / ナーチャリングのカイゼンの積み重ねにこそ、同社の強さの本質が見え隠れするのだ。ここからは筆者が独自取材した内容を元に、トップランナーであるキーエンスのOMOの実像について、解説したい。

強さの秘密1:コンテンツを軸にしたリードジェネレーションのカイゼン

 リードジェネレーションとは、文字通りリード(=引き合い)を生み出すことを指すが、キーエンスにおけるリードジェネレーションのカイゼンは他社のそれを圧倒している。

 メーカーでも、メールマガジン等をユーザー向けに発行したりMAツールを活用してユーザー行動をトラッキングしたりする企業も増えてきたが、キーエンスは10年以上前から内製システムにて上記を実現しており、実践知を積み上げてきた。

 特筆すべきは、メールマガジンだけでなく、ホワイトペーパー等の配信コンテンツを全て内製している点にある。キーエンスが公開しているコンテンツ数は4万点を超え、技術資料やマニュアルだけでも2,000点を超える。

画像
キーエンスと通常企業の違い

 毎月事業部から上げられたユーザーからの要望をもとに、「技術資料化すべきもの」を事業推進部がチェックし、一般公開とメールマガジンでユーザーに配信するという流れをとっている。

 また、センサーだけでなく、制御系機器のありとあらゆるカテゴリのキーワードでGoogle検索では上位表示されるようになっている。

 メールマガジンによる既存ユーザーからの新規リードとGoogle検索による新規ユーザーからの新規リードが、コンスタントに生み出される仕組みが確立されているのである。

【次ページ】強さの秘密2:徹底された多面的な顧客管理(ナーチャリング)のカイゼン

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