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  • 2020/06/12

アマゾン経済圏の正体、経済圏はプラットフォームやエコシステムと何が違うのか?

GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のビジネスモデルを説明する際によく使われるのが「プラットフォーム」や「エコシステム」「〇〇経済圏」といった表現だ。これらは似た言葉として使いがちだが、敢えてその違いを明確にすることで各社の強みを明らかにしようとしているのが『経営戦略4.0図鑑』を上梓した競争戦略アナリストの田中 道昭氏だ。本稿では田中氏にアマゾンや楽天などを例として「経済圏」とはいかなるものかについて解説してもらった。

競争戦略アナリスト 田中 道昭

競争戦略アナリスト 田中 道昭

立教大学ビジネススクール(大学院ビジネスデザイン研究科)教授。株式会社マージングポイント代表取締役社長。シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略、及びミッション・マネジメント&リーダーシップ。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、シティバンク資産証券部トランザクター(バイスプレジデント)、バンクオブアメリカ証券会社ストラクチャードファイナンス部長(プリンシパル)、ABNアムロ証券会社オリジネーション本部長(マネージングディレクター)などを歴任し、現職。著書に『アマゾンが描く2022年の世界』『2022年の次世代自動車産業』『ソフトバンクで占う2025年の世界』(以上、PHPビジネス新書)、『GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『アマゾン銀行が誕生する日』(日経BP)などがある。

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アマゾン経済圏があらゆる商取引を飲み込みつつある


ネット上のバーチャル空間に広がる経済規模

 プラットフォームやエコシステム同様、経済圏についても、具体的にはよくわからないという人が多いかもしれません。じつは、経済圏という言葉は経営学で用いられるテクニカルターム(専門用語)ではありません。したがって、明確な定義は確定していないのです。

 そこで、改めて辞書を引いてみると、「経済活動が一定の独立性をもって営まれる地理的範囲」と説明されています(三省堂刊/『大辞林 第三版』)。これでは、現在の文脈からかなり外れてしまっているので補足が必要でしょう。

 経済圏は、「〇〇経済圏」のように「〇〇」の部分に企業名を入れて用いられることが多いようです。たとえば「アマゾン経済圏」や「アリババ経済圏」というように用いられています。このような使われ方をした場合、「その企業の事業の影響を強く受ける範囲」と理解するのが妥当だと思われます。

 ただし、“範囲”といっても、地理的な範囲だけでなく、ネット上のバーチャルな空間も含んでいます。理由は、ネット上のビジネスの経済規模が、リアルな社会の経済規模に並びつつあるからです。

日本を覆いつつある「アマゾン経済圏」

 たとえば、アマゾンの日本事業の売上高は、2018年の1年間で1兆5,180億円でした。単体の通販サイトとしてはダントツのトップで、国内では12年連続で首位をキープしています(なお、この売上高にはマーケットプレイスの手数料や各種コンテンツサービスの売上も含みます)。

 アマゾンの日本事業の売上高を小売業の国内売上高ランキング(下表)にあてはめてみると、5位にランクインし、4位の家電量販店トップ、ヤマダ電機の1兆6,006億円とほぼ肩を並べています。

日本国内の小売業の売上高ランキング
順位 社名 売上高
1位 イオン 8兆5,182億円
2位 セブン&アイ・ホールディングス 6兆7,912億円
3位 ファーストリテイリング 2兆1,301億円
4位 ヤマダ電機 1兆6,006億円
5位 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 1兆3,289億円
6位 三越伊勢丹ホールディングス 1兆1,968億円
7位 エイチ・ツー・オーリテイリング 9,269億円
8位 高島屋 9,128億円
9位 ビックカメラ 8,440億円
10位 ツルハホールディングス 7,824億円
(出典:日本経済新聞・電子版2019年9月27日更新分)

 また、通販サイトが集合した国内最大のモール(=商店街)である楽天市場を展開する、楽天グループ全体の2018年の売上高は1兆1,015 億円です。つまり、「日本のネット通販業界はアマゾン経済圏の圏内にある」といって間違いありません。それと同時に、「“楽天経済圏”と拮抗している」という言い方もできます。

 そして、今後、アマゾンが無人コンビニ店舗「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」の日本版を次々に出店したとします。既存のスーパーやコンビニを買収すれば、それほどハードルは高くないはずです。

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シアトルにあるAmazon Goの一号店
(出典:アマゾン発表資料)

 日本版アマゾン・ゴーが成功した場合、国内小売業界の二強であるイオンやセブン&アイ・ホールディングスを脅かす存在になる可能性は十分にあります。そうなれば、リアルの小売業界もアマゾン経済圏に飲み込まれることになるでしょう。

【次ページ】エコシステムの発展形が経済圏に

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