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- 2024/03/28 掲載
日経平均が最高値も「埋まらなすぎる」米国との差、DX成功に必須「2つの投資」とは 篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第168回)
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日経平均株価が示す「失われた30年」の大きさ
2月22日の東京株式市場では、日経平均株価が終値で3万9,098円68銭を付けた。それまで史上最高値だった1989年12月29日の3万8,915円87銭から、実に34年ぶりの最高値更新だ。当時は、まさにバブル経済のピーク期だった。この間、リーマンショック後の2009年3月10日には、終値で7,054円98銭まで株価は下落した。バブル期の最高値からは5分の1以下の水準だ。この底値からちょうど15年をかけた高値更新と言える。
この34年間の推移を米国の株価と対比すると、彼我の差は驚くほど鮮明だ。NYダウ平均株価の1989年12月29日の終値は2,753.2ドル、今年2月22日の終値は39,068.98ドルで、14.2倍に上昇している。
国全体の経済活動を表す名目GDPで見ても、米国は1989年の5兆6,416億ドルから2023年の27兆3,578億ドルに4.85倍も拡大しているが、日本は428兆9,941兆円から591兆4,820億円へわずか1.38倍の増加にとどまる。年率換算で、米国は4.8%成長、日本は0.9%成長だ。
日米の過去34年間の株価の推移は、両国経済の勢いの差を如実に示していると言えそうだ。裏を返すと、バブル期の最高値を更新した日経平均株価は、日本経済が「失われた30年」を脱しつつあるシグナルと見ることもできる。
では、日本経済復活の可能性を示すシグナルに実態は伴っているのだろうか、それともバブルの再来に過ぎないのか。以下では3つの潮流変化から読み解いてみよう。
日本を復活へと導く「3つ」の潮流変化とは
日本経済の「失われた30年」にはさまざまな要因が働いたと考えられるが、インフォメーション・エコノミーの観点からは、次の3点が大枠の要因だったと考えられる。第1は技術環境の変化(デジタル化)、第2は国際環境の変化(平和の配当)、第3は日本固有の問題(3つの過剰)である。インターネット技術の軍民転換が象徴するように、デジタル化が世界規模で加速した要因の1つは、「冷戦終結」に伴う「平和の配当」と共振したことだ。これにより、各国の企業が最適資源配分をグローバル化させるなかで、日本企業は雇用、設備、負債の「3つの過剰問題」に直面し、デジタル化の波に乗り損ねてしまった。
この構図は本連載で度々解説してきた通りだ。ところが、2010年代後半から、いずれの要因にも静かに潮目の変化が起き始め、ここ数年で大きな潮流となって押し寄せている。 【次ページ】日本が再評価される「ある理由」
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