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  • 2021/03/24 掲載

DX認定制度とは何か? 経済産業省が示す「メリット」と「評価ポイント」を詳説

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企業が経営戦略としてのDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む中、その促進を後押しする政府の施策が拡充されている。2020年11月から、DX推進に向けた「準備が整った事業者」を認定する「DX認定制度」が本格的に開始された。経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「DX銘柄2021」の応募条件にもなるため、上場企業の経営者にとって今後の事業成長を目指す上で重要な認定制度になることは間違いない。制度の概要や狙い、選定ポイントなどを解説する。

執筆:国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之

執筆:国際大学GLOCOM 客員研究員 林雅之

国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。現在、クラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。総務省 AIネットワーク社会推進会議(影響評価分科会)構成員 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。

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「DX認定制度」とは何か
(Photo/Getty Images)

「DX認定制度」とは何か?

 DX認定制度とは、2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づく認定制度である。国が策定した企業経営における戦略的なシステムの利用の在り方を「情報処理の促進に関する法律」に基づいた指針に基づき、優良な取り組みを実施している事業者を申請に基づいて認定するというもの。

 経済産業省は、企業のDXに関する自主的取り組みを促すため、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を「デジタル・ガバナンスコード」として取りまとめている。DX認定制度では、デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応することが認定基準となる。

 同制度では情報処理推進機構(以下、IPA)が「DX認定制度事務局」として、各種問合せや認定審査事務などを担当している。IPAは2020年11月9日、Web申請システム「DX推進ポータル」上でのDX認定制度の申請受付を開始した。

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DX認定制度の運営の仕組み
(出典:IPA「DX認定制度 Web申請受付開始のご案内」)

 Web申請に当たっては、DX推進ポータルにアクセスして申請と必要書類を提出する。同ポータルサイトは、企業がDXによるデジタル経営改革を推し進めるためのサービスをオンラインで提供する。DX認定制度に加えて、自社の取り組み状況の簡単な自己診断やその結果を他社と比較する「DX推進指標」、DXを推進するための仕組みを構築し、優れたデジタル活用の実績がある上場企業を選定する「DX銘柄」などの機能も備える。

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DX推進ポータル。DX認定制度によって認定された事業者は認定の適用日ごとに「DX認定制度 認定事業者一覧」として公表されており、こちらのURLから確認できる

「DX認定制度」のメリットとは? その創設にある背景

 あらゆる企業が新型コロナウイルスの感染拡大による急激な社会変化に直面しており、DXを推進し新しいサービスの提供や働き方に迅速に対応する取り組みが必要となっている。しかし、DXの取り組みが遅れている企業は、そうした時代の変化に迅速に対応することが難しくこともあり、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態下では事業継続への対応の意識が高まっている。

 このような社会変化を踏まえ、企業のDXを推進する施策の後押しが求められており、企業におけるデジタル・経営一体のコーポレートガバナンスが重要となっている。

 これらの企業の望ましい方向性や、デジタル技術による社会変化に対応した施策、未来のコーポレートガバナンスを示したのが、デジタルガバナンス・コードだ。DX認定制度における企業の選定は、デジタルガバナンス・コードの「(1) 基本的事項」の部分がDX認定制度と対応している。

 経済産業省の「DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」によると、DX認定(法認定)のレベル感を4段階に分類している。

 DX認定では、その中で「DX-Ready」の状態の事業者を認定する。さらにDX認定事業者を超えるレベルにある事業者を「DX-Excellent企業」「DX-Emerging企業」として選定している。

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DX認定制度の全体像
(出典:経済産業省・IPA「DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」2020年11月)

 企業がDX認定を受けるメリットもここで触れておこう。 (1)DX認定を受ける過程でDXを推進する際の論点が整理されること、(2)国がDX認定企業として情報を公開するため信用力などブランド向上につながること、(3)「DX銘柄2021」など経産省の重要施策に対応する応募の資格も得られること、の3つである。

 DX認定を目指すことで、自社のDXを進めるだけでなく、DX優良企業の“お墨付き”を経産省から得られるのだ。

DX-Readyとは、具体的にどのレベルを指す?

 DX-Readyとは、デジタルガバナンス・コードの(1) 基本的事項の「柱となる考え方」と「認定基準」を実践している企業を指す。まず、経営者がデジタル技術を用いたデータ活用によって自社をどのように変革させるかを明確にする。また、その実現に向けた戦略を策定するとともに、企業全体として必要となる組織や人材を明らかにする。その上で、ITシステムの整備に向けた方策を示し、さらには戦略推進状況を管理する準備ができている状態と理解すればよい。

 デジタルガバナンス・コードの基本的事項は以下の通り。DX認定制度の申請時に記入する各項目は、デジタルガバナンス・コードの項目と対応している。

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DX認定制度における指針と認定基準について
(出典:経済産業省・IPA「DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」2020年11月)

 このため、デジタルガバナンス・コードの各項目に対応する内容を基に申請することになる。

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デジタルガバナンス・コードとDX認定制度の項目
(出典:経済産業省・IPA「DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」2020年11月)

 DXを推進していくためには、経営ビジョンとリーダーシップによる「攻め」と、セキュリティ対応の「守り」の両輪によるガバナンスシステムの構築が重要だといえる。

【次ページ】DX認定事業者からDX-Excellent企業やDX-Emerging企業への道のり

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