• 2026/02/12 掲載

いよいよ創設間近の「国家情報局」、日本版「CIA」でも「FBI」でもないと言えるワケ

連載:小倉健一の最新ビジネストレンド

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日本政府が、2025年度中に創設するとしている「国家情報局」。創設において注目するべきなのは、誰がこの組織を担うべきかという問題だ。国内の取り締まりと国外の情報収集──多くの民主主義国家が厳格に分離してきたこの2つをめぐる組織の在り方を考えていくと、ある「必然性」が見えてくる。それは一体何か。元プレジデント編集長の小倉健一氏が解説する。
執筆:ITOMOS研究所所長 小倉 健一

ITOMOS研究所所長 小倉 健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長。現在、イトモス研究所所長。著書に『週刊誌がなくなる日』など。

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インテリジェンス機関の在り方とは
(Photo/Shuteerstock.com)

スパイ容疑で捕まった「衝撃の体験談」

 北京市内の、ある一室。遮光カーテンが幾重にも閉ざされ、太陽の光が一切届かない空間がある。そこに1人の日本人が7カ月もの間、閉じ込められていた。日中青年交流協会の理事長を務めていた鈴木英司氏は、2016年の夏、北京空港で拘束された。

 中国側の説明によれば、拘束理由はスパイ容疑である。

 暗闇の中で鈴木氏が突き付けられたのは、日本の公安調査庁職員の顔写真が並んだリストであったという。中国の取調官は、そのリストを机に広げ、知っている顔を指差すように命じたという。鈴木氏は絶望したに違いない。自分が信頼し、日本のために良かれと思って協力していた相手が、自身の身元すら守れていなかったという事実に。いや、守れていなかったどころではない。

 中国当局は、日本国内での会食の事実も、接触していた職員の名前も、すべて把握していた。日本の情報機関のずさんな管理体制が、1人の民間人の人生を暗闇に突き落としたのである。この衝撃的な事実は、本人の口から語られている。

高市政権で進む「国家情報局」の全貌

 2025年9月24日付の日本経済新聞によれば、鈴木氏は「拘束された原因に『日本の公安調査庁との接点』」を挙げ、中国当局の取り調べで「公安調査庁の担当者らの顔写真を見せられたことも明らかにした」。さらに彼は、公安の手法について「片っ端から中国通の人に声をかけるようなやり方は邦人の拘束リスクを高める」と、その稚拙さに強く警告を発している。

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中国当局の取り調べでは、公安調査庁の担当者らの顔写真を見せられたという
(Photo/Shutterstock.com)

 2026年現在、高市政権の下で「国家情報局」の創設準備が進んでいる。日本のインテリジェンス機能を一元化し、対外的な情報収集能力を強化しようという試みだ。

 だが、聞こえてくるのは、新組織の主導権を巡る省庁間の争いばかりである。公安調査庁をはじめ、警察庁、外務省、防衛省など、日本の治安に関する組織たちが、こぞって、新しい組織の中核を担おうと活発に動いている。果たして、日本政府のどの機関が「国家情報局」を担うべきなのだろうか。 【次ページ】新組織に求められる「ある役割」
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