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  • 2021/10/11

SD-WANのベンダー比較、ガートナーらの最新調査から見る企業ネットワークの新常態

コロナ禍に端を発したリモートワークの急速な普及により、企業のネットワークの在り方が変化している。ガートナーは、クラウド時代の新たなフレームワークとして、ネットワークとセキュリティを統一的に提供するSASE(Secure Access Service Edge)を2019年に提唱した。SASEを実現するために、ネットワークの面で中核となる製品の1つが、ソフトウェアで定義された広域ネットワークを指す「SD-WAN(Software Defined WAN)」である。ここでは、企業がビジネスを推進する上で、今後重要性を増すSD-WANについて、ガートナーの最新の調査結果などを交えて動向を紹介する。

執筆:友永 慎哉

執筆:友永 慎哉

製造業向け基幹系システムの開発を経験後、企業ITの編集、ライター業に従事。ファイナンス、サプライチェーンなど、企業経営の知識を軸にした執筆に強みを持つ。インダストリー4.0など新たな技術による製造業の世界的な変革や、Systems of Records(SoR)からSystems of Engagement(SoE)への移行、情報システムのクラウドシフトなどに注目する。GAFAなど巨大IT企業が金融、流通小売り、サービスといった既存の枠組みを塗り替えるなど、テクノロジーが主導する産業の変化について情報を収集・発信している。

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広域ネットワークをソフトウェアで一元的に定義できるSD-WANに注目が集まる
(Photo/Getty Images)

SD-WANとは何か、また求められる背景は?

 SD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)とは、ソフトウェアで仮想的に定義する広域ネットワーク、もしくはそれを実装するためのテクノロジーや製品のこと。従来、ネットワークを構成するものとして、ルーター、スイッチ、サーバー、ストレージなどのハードウェアが存在しており、それぞれを制御する必要があり、複雑だった。

 これらをソフトウェアで一元的に制御できるようにする技術がSDN(Software Defined Networking)であり、SDNの範囲をローカルエリアだけでなく、より広域なネットワークであるWANに広げるのがSD-WANである。

 SD-WANを利用することにより、ソフトウェアでネットワーク接続を制御し、通信や回線への負荷を軽くできることや、遠隔地に出向いて機器の設定作業をする必要がないこと、またトラフィックの監視環境を統一できるために運用コストを減らせるといったメリットがある。

 また、SD-WANで実施できる主要機能の1つで忘れてはいけないのが「インターネットブレイクアウト」である。インターネットにアクセスする特定の通信を、ほかの通信とは異なるゲートウェイ経由にする機能だ。

 テレワークの普及などでインターネットに接続する拠点が増加し、トラフィック量が増大する中、企業が持つネットワークへのトラフィックやVPN環境がひっ迫している。インターネットブレイクアウトにより、影響を小さくできるのである。

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ネットワークトラフィックの増大に伴ってSD-WANの必要性が増している
(Photo/Getty Images)

ガートナーがSD-WANベンダーの最新評価を発表

 調査会社のガートナーは9月20日、SD-WANと関わりの深いWANエッジインフラストラクチャに関する調査結果「Gartner Magic Quadrant for WAN Edge Infrastructure」の2021年版を発表した。

 リーダーとして選定されたのは、ヴイエムウェア、フォーティネット、Versa Networks、パロアルトネットワークス、シスコシステムズ、HPE(Aruba & Silver Peak)の6社だった。リーダー企業について、強みと注意点に関する記述を中心に紹介する。

リーダー チャレンジャー ニッチプレイヤー
ヴイエムウェア
フォーティネット
Versa Networks
パロアルトネットワークス
シスコシステムズ
HPE(Aruba & Silver Peak)
Huawei
Citrix
クレードルポイント
Nuage Networks
ペプリンク(Peplink)
バラクーダ
FatPipe Networks
リバーベッド

・ヴイエムウェア
 ハードウェアとソフトウェア、ゲートウェイなど競争力のある製品を展開しており、1万4000を超える顧客、財源、大規模なグローバルチャネルを持つ点を強みとしている。一方、注意点として、セキュリティ機能をMenloテクノロジーによるOEMに依存しているため、新たな顧客のセキュリティニーズに迅速に対応できない可能性があるとしている。

・フォーティネット
 WANエッジ製品では、アプリケーションパフォーマンスの最適化とSD-WAN機能に加え、用途の広いセキュリティ機能を提供する。また、顧客体験スコアが高くなっていることも強みとして挙げる。一方、注意点として、マルチベンダーのSASE機能を構築するために必要となる強力なセキュリティパートナーエコシステムがないことを指摘している。

・Versa Networks
 グローバル運営されており、あらゆる規模と業種のクライアントに対応。SASE、5G、SDブランチ、人工知能(AI)/ 機械学習(ML)に将来投資することを期待しているとガートナーは指摘する。市場平均を超えて成長を続けており、ガートナーへの問い合わせも多いという。規模の大きな競合他社が多いことを注意事項として挙げている。

・パロアルトネットワークス
 主力製品はPrisma SD-WAN。クラウドアクセスセキュリティのPrisma Accessと統合して、単一ベンダーのSASEソリューションを提供できる。分析機能を備えて、製品の提供にAI / ML機能を活用しているのが強み。注意点として、コアとなるWAN最適化機能がないため、アプリケーションパフォーマンスの最適化に制限があると指摘している。

・シスコシステムズ
 Viptelaを搭載したCisco SD-WANとMerakiを搭載したCisco SD-WANの2つのブランド製品を持つ。幅広い製品と広いグローバルチャネルを備えているため、ほぼすべての企業のユースケースにグローバルに対応できるのが強み。注意点として、ガートナーの顧客からは、市場の中で価格設定が高いという声が目立っていることを挙げている。

・HPE(Aruba & Silver Peak)
 Silver Peakの買収によるAruba Edge Connect SD-WAN Edgeプラットフォームが主力製品。AIOps、LAN、WLAN、WANとセキュリティを備えた統合アーキテクチャを提供するAruba SD-Branchも提供する。あらゆる規模の顧客のユースケースに対応できるのが強みだ。一方、市場に2つの確立された製品を持つため、顧客の混乱を招く可能性があることを指摘している。

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