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- 2021/10/11 掲載
SD-WANのベンダー比較、ガートナーらの最新調査から見る企業ネットワークの新常態
SD-WANとは何か、また求められる背景は?
SD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)とは、ソフトウェアで仮想的に定義する広域ネットワーク、もしくはそれを実装するためのテクノロジーや製品のこと。従来、ネットワークを構成するものとして、ルーター、スイッチ、サーバー、ストレージなどのハードウェアが存在しており、それぞれを制御する必要があり、複雑だった。これらをソフトウェアで一元的に制御できるようにする技術がSDN(Software Defined Networking)であり、SDNの範囲をローカルエリアだけでなく、より広域なネットワークであるWANに広げるのがSD-WANである。
SD-WANを利用することにより、ソフトウェアでネットワーク接続を制御し、通信や回線への負荷を軽くできることや、遠隔地に出向いて機器の設定作業をする必要がないこと、またトラフィックの監視環境を統一できるために運用コストを減らせるといったメリットがある。
また、SD-WANで実施できる主要機能の1つで忘れてはいけないのが「インターネットブレイクアウト」である。インターネットにアクセスする特定の通信を、ほかの通信とは異なるゲートウェイ経由にする機能だ。
テレワークの普及などでインターネットに接続する拠点が増加し、トラフィック量が増大する中、企業が持つネットワークへのトラフィックやVPN環境がひっ迫している。インターネットブレイクアウトにより、影響を小さくできるのである。
ガートナーがSD-WANベンダーの最新評価を発表
調査会社のガートナーは9月20日、SD-WANと関わりの深いWANエッジインフラストラクチャに関する調査結果「Gartner Magic Quadrant for WAN Edge Infrastructure」の2021年版を発表した。リーダーとして選定されたのは、ヴイエムウェア、フォーティネット、Versa Networks、パロアルトネットワークス、シスコシステムズ、HPE(Aruba & Silver Peak)の6社だった。リーダー企業について、強みと注意点に関する記述を中心に紹介する。
リーダー | チャレンジャー | ニッチプレイヤー |
ヴイエムウェア フォーティネット Versa Networks パロアルトネットワークス シスコシステムズ HPE(Aruba & Silver Peak) |
Huawei Citrix |
クレードルポイント Nuage Networks ペプリンク(Peplink) バラクーダ FatPipe Networks リバーベッド |
・ヴイエムウェア
ハードウェアとソフトウェア、ゲートウェイなど競争力のある製品を展開しており、1万4000を超える顧客、財源、大規模なグローバルチャネルを持つ点を強みとしている。一方、注意点として、セキュリティ機能をMenloテクノロジーによるOEMに依存しているため、新たな顧客のセキュリティニーズに迅速に対応できない可能性があるとしている。
・フォーティネット
WANエッジ製品では、アプリケーションパフォーマンスの最適化とSD-WAN機能に加え、用途の広いセキュリティ機能を提供する。また、顧客体験スコアが高くなっていることも強みとして挙げる。一方、注意点として、マルチベンダーのSASE機能を構築するために必要となる強力なセキュリティパートナーエコシステムがないことを指摘している。
・Versa Networks
グローバル運営されており、あらゆる規模と業種のクライアントに対応。SASE、5G、SDブランチ、人工知能(AI)/ 機械学習(ML)に将来投資することを期待しているとガートナーは指摘する。市場平均を超えて成長を続けており、ガートナーへの問い合わせも多いという。規模の大きな競合他社が多いことを注意事項として挙げている。
・パロアルトネットワークス
主力製品はPrisma SD-WAN。クラウドアクセスセキュリティのPrisma Accessと統合して、単一ベンダーのSASEソリューションを提供できる。分析機能を備えて、製品の提供にAI / ML機能を活用しているのが強み。注意点として、コアとなるWAN最適化機能がないため、アプリケーションパフォーマンスの最適化に制限があると指摘している。
・シスコシステムズ
Viptelaを搭載したCisco SD-WANとMerakiを搭載したCisco SD-WANの2つのブランド製品を持つ。幅広い製品と広いグローバルチャネルを備えているため、ほぼすべての企業のユースケースにグローバルに対応できるのが強み。注意点として、ガートナーの顧客からは、市場の中で価格設定が高いという声が目立っていることを挙げている。
・HPE(Aruba & Silver Peak)
Silver Peakの買収によるAruba Edge Connect SD-WAN Edgeプラットフォームが主力製品。AIOps、LAN、WLAN、WANとセキュリティを備えた統合アーキテクチャを提供するAruba SD-Branchも提供する。あらゆる規模の顧客のユースケースに対応できるのが強みだ。一方、市場に2つの確立された製品を持つため、顧客の混乱を招く可能性があることを指摘している。
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