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  • 2021/10/22

企業がWindows 11に「すぐにアップデートしてはいけない」明確な理由

マイクロソフトが10月5日、新たなOSとして「Windows 11」の提供を開始した。Windows 10をベースに開発されており、Windows Updateを経由して無料でアップグレードできる。各メーカーからはプリインストールPCがすでに発表されており、「落ち着きのあるデザイン、中央に配置したスタート画面、画面の効率利用を促すデスクトップ、タスクバーに統合したTeamsベースのチャット」などさまざまな機能が新たに提供されている。一方で、要求するハードウェア要件が比較的高いことや多くの不具合も確認されており、急いでアップデートするにはリスクが伴う状況だ。

執筆:友永 慎哉

執筆:友永 慎哉

製造業向け基幹系システムの開発を経験後、企業ITの編集、ライター業に従事。ファイナンス、サプライチェーンなど、企業経営の知識を軸にした執筆に強みを持つ。インダストリー4.0など新たな技術による製造業の世界的な変革や、Systems of Records(SoR)からSystems of Engagement(SoE)への移行、情報システムのクラウドシフトなどに注目する。GAFAなど巨大IT企業が金融、流通小売り、サービスといった既存の枠組みを塗り替えるなど、テクノロジーが主導する産業の変化について情報を収集・発信している。

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中央に配置されたスタート画面が特徴の1つであるWindows 11

顕在化しているさまざまな課題

 マイクロソフトは、Windows 10から11へのアップグレードを段階的に実施し、2022年半ばまでに、すべての対象端末でアップグレードを完了できるようになると説明する。だが、Windows 11への更新には、利用端末が同OSの要求する要件に達していなくてはならず、対象端末が要件を満たすかを確認するアプリ「PC正常性チェック」を無償提供している。

 一見、マイクロソフトの誘導に沿っていればスムーズにWindows 11に移行できるように見えるが、実際のところ更新には、懸念点が多く指摘されているのが実情だ。そのあたりについて整理してみよう。

Windows 11が求めるシステム要件の水準が高い

 Windows 11はPCに求めるシステム要件が比較的高いことに注意が必要だ。CPUについては、動作周波数1ギガヘルツ以上で2コア以上の64ビット互換プロセッサ、またはSystem on a Chip (SoC)としている。メモリは4ギガバイト、ストレージは64ギガバイト以上が最低ラインだ。映像の出力は、DirectX 12以上に対応するグラフィックスカード、ドライバーモデルはWDDM 2.0以上としている。

Windows 11に求められる主なシステム要件
プロセッサ 1 ギガヘルツ以上で 2 コア以上の64 ビット互換プロセッサまたは System on a Chip (SoC)
メモリ 4 ギガバイト
ストレージ 64 GB 以上の記憶装置
システム ファームウェア UEFI、セキュア ブート対応
TPM トラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) バージョン 2.0
グラフィックス カード DirectX 12 以上 (WDDM 2.0 ドライバー) に対応
ディスプレイ 対角サイズ 9 インチ以上で 8 ビット カラーの高解像度 (720p) ディスプレイ
(出典:マイクロソフトの資料から筆者作成)

 IT資産管理ソフトウェアを手掛けるLansweeperが、6万組織が持つ約3000万台のWindows端末を対象に実施した調査によると、多数の企業が今後何年にもわたって、Windows 10を使い続ける可能性を示唆している。

 マイクロソフトが示したWindows 11のCPU要件を満たすマシンは44%にとどまり、セキュリティ機能を提供するマイクロチップである「Trusted Platform Module(TPM)2.0」の要件を満たすものも52%ほどしかなかった。

 一方、RAMの容量については、91%とほとんどが満たしていた。なおTPMの一例としては、Windowsでデバイスのストレージを暗号化してデータを保護する「BitLocker」での利用が挙げられる。

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Windows 11が要求するハードウェア要件は厳しい
(出典:Lansweeper

 また、大企業が導入する場合に、IT要件の問題がもう1つある。VMwareやHyper-V、Oracle VM Virtual Boxなどの仮想マシン(VM)基盤にも、マイクロソフトが提示するハードウェア要件が求められることである。Lansweeperは「VMにおけるCPUの互換性はPCをわずかに上回る44.9%だが、RAMについて満たしているのは66.4%にとどまる」と指摘。

 さらに問題なのは、TPM2.0を有効にしている仮想ワークステーションが0.23%しかないということである。このため、仮想マシンのワークステーションのほとんどは、仮想マシンをTPMに対応させるためのTPMパススルーであるvTPMを導入しない限り、Windows 11にアップグレードできないのである。

【次ページ】Windows 11で頻発している不具合リスト

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