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  • 2022/05/09 掲載

「プラ新法」とは何か? わかりやすく対応方法や罰則規定などを解説する

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2022年4月1日に「プラスチック資源循環促進法(通称:プラスチック新法、プラ新法)」が施行されたが、あなたの会社での取り組みは進んでいるだろうか? 報道では主に小売店や飲食店でのレジ袋やスプーンでの取り組みが紹介されているが、その対象はあらゆる製品や企業に及び、プラスチック製品全般の設計から廃棄に至るまでのライフサイクルに沿って各措置が規定されている。本記事では、プラ新法で求められていることに焦点を当て、企業が取り組むべきポイントをわかりやすく解説する。

執筆:元技術系公務員ライター 和地 慎太郎(わち・しんたろう)

執筆:元技術系公務員ライター 和地 慎太郎(わち・しんたろう)

東北大学大学院応用化学修了後、大手製造業で電子材料などの製造開発に従事。その後、地方公務員の化学技術職として採用され、製造業者などさまざまな企業に対し、工場排水や廃棄物処理などの環境法令に関する実務を主に担当。公害防止管理者や廃棄物処理施設技術管理者などの国家資格を保有。2022年からフリーライターに転身し、環境ジャンルの専門性や、製造業と公務員のバックグラウンドを生かし、webメディアや企業サイトの記事などの執筆を行う。

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プラ新法は取り組み次第で罰則の対象にも、認定特例の対象にもなるが、企業としてはどう対応すべきなのか
(Photo/Getty Images)

「プラ新法」とは何か?

 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)」(通称:プラスチック新法、プラ新法)とは、プラスチックの資源循環を進めることを目的とし、プラスチック使用製品の設計・製造から、販売・提供、排出・回収・リサイクルするまでの各段階において、必要な措置を定めたものである。

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「プラスチックは、えらんで、減らして、リサイクル」というスローガンとともに、新プラ法の基本的な考え方を表している
(出典:環境省)

 これまでの3R(リデュース、リユース、リサイクル)の考え方だけでは、天然資源などの使用や廃棄物の発生を避けることはできず、持続可能な社会の実現が難しかった。したがって、3Rには新たに「Renewable(リニューアブル、再生可能資源の活用)」の考え方が加えられた。

 つまり、リサイクルできないようなプラスチック使用製品を最初から作るのではなく、少ない資源をできるだけ長く使用し、その後はリサイクルによって改めて資源として利用する、という考えである。

 そのため、プラスチック使用製品のライフサイクル全体で資源が循環するよう、法律で必要な措置を定めたのである。措置内容によっては、順守しなかった場合の罰則規定もあるから要注意だ。

サントリー・セブン・日本ハムの取り組み

 プラスチックの資源循環に関して、各企業で取り組みが進められている。サントリーホールディングスは、2022年の目標として、国内清涼飲料事業における全ペットボトルのうち半分を、リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用した「100%サステナブルボトル」に切り替えることを掲げている。

 さらに、セブン&アイ・ホールディングスは、植物由来(バイオマス)の素材を30%配合したスプーンやフォークなどの環境配慮型カトラリーを、2022年4月1日から順次、全国のセブン‐イレブンに導入する。

 また日本ハムが、一部の商品に包装資材重量を28%削減した新しい商品パッケージを採用し、2022年2月1日から発売している。

 プラスチックに関する国際的な関心が高まる中、プラ新法が施行される前から、すでに取り組みを進めている事例も多く、環境に配慮した事業活動がより一層求められる傾向にある。ほかにも、企業の取り組み事例として、経団連の「SDGsに資するプラスチック関連取組事例集」や、環境省の「排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準の手引き(1.0版)」などにまとめられている。

製造・販売・排出の視点で「対応方法」と「認定特例」を解説

 プラ新法では、国や自治体、消費者、事業者(企業)に対して、それぞれ対応を求めている。企業については、プラスチック使用製品との関わりにより、「設計・製造者」、「販売・提供者」、「排出者」に分けられ、それぞれ必要な措置を定めている。では具体的には、何をしなければならないのか。

 ここでは、対象となる企業と、具体的な措置の内容について解説する。なお、実際の業務にあたっては、細かい規定や例外もあるため、関連法令や手引き、または行政への確認を行いながら対応する必要がある。

■設計・製造者
 ここで対象となるのは、プラスチック使用製品の設計・製造を業として行う企業である。正確に言えば、設計について決定権がある場合である。業種の指定はない。また対象となる製品は、使い捨て製品に限らず、プラスチックを使用するあらゆる製品が対象となる。

 設計・製造者は、国が定めた「プラスチック使用製品設計指針」に基づいた設計を求められる。具体的には、プラスチックの使用量の削減、部品の再利用、再生利用しやすい製品の設計、プラスチック以外の素材への代替、再生プラスチックやバイオプラスチックの利用などである。

 この指針に則した製品は、申請により国から認定される制度も創設された。認定された製品は、購入者が環境に配慮して消費することで供給者に環境負荷の少ない製品の開発を促す「グリーン購入法」上で配慮され、国などが調達する物品について優先的に対象となる。また、指針に則した製品の製造施設・設備の支援を受けることができる。

 なお、製品本来の機能を維持させるため、安全性や機能性などの性能を優先せざるをえない場合は、必ずしもこの指針に従う必要はない。しかし、法の趣旨より、ごみの削減やリサイクルだけでは資源を循環させるのに限界があるため、設計・製造段階での取り組みが非常に重要であり、何らかの環境に配慮した設計が求められるだろう。

【次ページ】まとめ:自社で確認すべき対応状況のポイント

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