- 2022/12/15 掲載
PEファンドに存在感=東芝買収で交渉権
国内で「プライベート・エクイティ(PE)」と呼ばれる投資ファンドの存在感が増している。機関投資家らから集めた資金を非上場株などに投資し、企業価値を高めた上で売却や再上場を図る。東芝再建を巡っても、日本産業パートナーズ(JIP)が優先交渉権を獲得した。PEは市場で欠かせない役割を担いつつある。
「物言う株主」との対立で経営の混乱が続く東芝。事態打開に向け、複数の投資会社から再建策を募った。JIPは2.2兆円超での買収を提案しており、銀行側から融資の確約が得られれば、TOB(株式公開買い付け)により東芝の非上場化に踏み切る方針だ。
東芝は原発など国の経済安全保障に直結する事業を抱え、今後の行方には不透明感も残るが、買収が実現すれば日本企業の案件としては過去最大規模になるとみられる。
国内では近年、オリンパスの科学事業や日立金属、日立物流など、1000億円を超える大型の買収が相次ぐ。企業価値の最大化に向け、非中核事業を売却する動きが背景にあり、JIPは日立金属の買収にも参加している。
経営改革を加速するため、非上場化を検討する企業も増えている。ニュースサイト「ニューズピックス」を運営するユーザベースもその1社。TOBを進める米カーライルの大塚博行日本副代表は、こうした戦略について「必要なことを実行し、企業価値を高めてから再上場するのが狙い」と説明する。
コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーによると、2018年に3000億円程度だったPE取引額は21年に約2兆7000億円に急増。22年も昨年並みの高水準で推移する。昨年、日本に初の拠点を開設したスウェーデンの投資会社EQTの鬼塚哲郎パートナーは「日本ではお金を持っているだけでは選ばれない。信頼性が重要」として、長期的視野で投資する考えを強調している。
【時事通信社】
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