- 2023/01/07 掲載
NY市場サマリー(6日)ドル下落、米株上昇 利回り低下
<為替> ドルが下落。6日発表された米雇用統計が強弱入り混じる内容となったことに反応したほか、低調なISM非製造業総合指数が嫌気された。
2022年12月の雇用統計は非農業部門雇用者数が22万3000人増加し、失業率は3.5%に改善。同時に、時間当たり平均賃金の伸びは前月比および前年同月比ともに鈍化した。
TD証券のシニア為替ストラテジスト、マゼン・イッサ氏は、賃金の伸び鈍化は「心強い」とした上で、タカ派的な要素も見られたと指摘。「失業率が予想に反し改善し、労働参加率は上昇した」とし、「米連邦準備理事会(FRB)が次回会合で0.25%ポイント、0.5%ポイントいずれの利上げに動くかを判断する材料にはならなかった」と述べた。
主要通貨に対するドル指数は一時、昨年12月7日以来の高値となる105.63を付けたものの、終盤は1.17%安の103.88。
ユーロ/ドルは1.19%高の1.0645ドルで、1日としては11月11日以来の高い伸びとなる勢い。
ドル/円は1.03%安の132.07円。
米供給管理協会(ISM)が6日発表した昨年12月の非製造業総合指数(NMI)が20年5月以来、2年7カ月ぶりに節目となる50を割り込んだことを受け、ドルは下げ足を速めた。
米商務省が発表した11月の製造業新規受注も前月比1.8%減と、市場予想(0.8%減)以上の落ち込みとなった。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁はこの日発表された雇用統計について、米経済が徐々に減速していることを示す新たな兆候であり、このままいけば、FRBが次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.25%ポイントに引き下げることができると述べた。
リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、FRBによる利上げ幅縮小の動きは経済へのダメージを抑えるのに役立つと述べた。
フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場が織り込む2月FOMCでの0.25%ポイント利上げの確率は73%と、雇用統計発表前の54%から上昇。0.5%ポイント利上げの確率は27%となっている。
来週12日に発表される米消費者物価指数(CPI)が注目されている。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが2週間ぶりの水準に低下した。6日発表された経済指標は軒並み景気減速の兆候を示し、米連邦準備理事会(FRB)の利上げの影響がようやく経済に及び、利上げサイクルが停止に近づいているという観測を支えた。
米供給管理協会(ISM)が発表した昨年12月の非製造業総合指数(NMI)は49.6と、2020年5月以来2年7カ月ぶりに節目となる50を割り込んだ。
2022年12月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が22万3000人増加し、失業率は3.5%に改善。同時に、時間当たり平均賃金の伸びは前月比および前年同月比ともに鈍化した。
2・10年債の利回り格差は雇用統計発表直後、マイナス79.20ベーシスポイント(bp)と、3週間ぶりに最大の反転幅を記録。終盤はマイナス70bpとなった。
アメリベト・セキュリティーズの米金利主任、グレゴリー・ファラネロ氏は「債券市場はFRBが終盤戦に近づいていると予想している」と指摘。同時に「FRBにはまだやることが残されており、金利を5%程度にすることを望んでいる。しかし現実には、5%の水準は市場とインフレ双方に影響が及ぶだろう」と述べた。
キャピタル・エコノミクスの北米チーフエコノミスト、ポール・アッシュワース氏は、ISM非製造業総合指数が「ディスインフレ圧力」を示唆すると同時に、「ソフトランディング(軟着陸)ではなく、リセッション(景気後退)と一致する内容になった」と述べた。
また、米商務省が発表した11月の製造業新規受注は前月比1.8%減と、市場予想(0.8%減)以上の落ち込みとなった。
10年債利回りは2週間ぶりの水準となる3.551%に低下。終盤は16.6bp低下の3.556%。
30年債利回りも2週間ぶりの低水準となる3.671%を付けた後、11.6bp低下の3.682%。
2年債利回りも一時4.245%と、2週間ぶりの低水準を付けた後、19.9bp低下の4.253%で推移した。
金利先物市場では、2月FOMCで0.25%ポイントの利上げが実施される予想が織り込まれた。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 主要株価指数が2%超上昇して取引を終えた。米雇用者数の伸びが予想以上だった一方、賃金の伸びが鈍化したほか、サービス業の縮小が示されたことで米連邦準備理事会(FRB)の利上げ路線に関する懸念が緩和された。
米労働省が6日発表した2022年12月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は22万3000人増えた。堅調な雇用の伸びを維持し、失業率も3.5%に改善した。
一方、12月の時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇。11月は0.4%上がっていた。12月の賃金上昇率は前年同月比4.6%と、11月の4.8%から低下し、21年8月以来の低い伸びとなった。
米供給管理協会(ISM)が6日発表した2022年12月の非製造業総合指数(NMI)は49.6と20年5月以来、2年7カ月ぶりに50を割り込んだ。50を下回ると、米経済の3分の2超を占めるサービス業の縮小を示す。新型コロナウイルス流行時を除くと09年後半以来の低水準となり、長期的な景気後退期の水準とされる50.1も下回った。
バーデンス・キャピタル・アドバイザーズのメーガン・ホーンマン最高投資責任者(CIO)は「賃金の伸びが鈍化しインフレ面では良いニュースだ。労働参加率は再び上昇し、雇用もまだ創出されている。これは経済にとってある意味ウィン─ウィンだ。ただ一方で、ISM非製造業は本当に軟調で広範囲にわたって弱かった」と指摘。「このため、ここ数十年で最も積極的なFRBの引き締めサイクルが終わりに近づいているとの見方が広がり、株高につながった」と述べた。
週間ではS&P総合500種とナスダック総合は5週ぶりの上昇となった。S&P500が1.45%、ナスダックが0.98%、ダウ工業株30種が1.46%それぞれ上昇した。
ハンティントン・ナショナル・バンクのジョン・オーガスティンCIOは、FRBが景気後退を引き起こすほどの利上げを行うのではないかという懸念が緩和されていると言及。「今日発表された経済指標は景気後退を余儀なくさせるような圧力を緩和させるかもしれない。すでに十分に景気を減速させているかもしれなず、インフレ統計で検証する必要がある」とした。
米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は6日、同日発表された米雇用統計は米経済が徐々に減速していることを示す新たな兆候であり、このままいけばFRBが次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.25%ポイントに引き下げることができると述べた。
S&P主要全セクターが上昇し、素材株が3.44%高と上げを主導。次いで、金利に敏感な情報技術が2.99%上昇した。
上昇率が低かったのはヘルスケアで0.89%高。エネルギーは1.68%上昇した。
米会員制倉庫型ストアのコストコ・ホールセールが12月の売上高の大幅な伸びを発表したことで7%上昇し、主要消費財の上昇に寄与した。
米バイオジェンは2.8%高。米食品医薬品局(FDA)は6日、エーザイとバイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を承認した。早期アルツハイマー病の患者が使用対象となる。エーザイの米国株は4%高の64.20ドルとなった。
米ファイザーは2.5%高。中国がファイザーの新型コロナウイルス経口治療薬「パクスロビド」のジェネリック(後発医薬品)を中国国内で製造および販売するライセンスの取得に向け、同社と交渉を進めていると関係筋3人がロイターに明らかにした。
米生活雑貨販売ベッド・バス・アンド・ビヨンドは22%急落。ロイターが関係者の話として同社が数週間内に破産法の適用を申請する準備を進めていると報じたことを受けた。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を6.69対1の比率で上回った。ナスダックでも2.59対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は111億5000万株。直近20営業日の平均は108億4000万株。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米長期金利の低下などを背景に買われ、反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比29.10ドル(1.58%)高の1オンス=1869.70ドル。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 対主要通貨でのドル軟化を背景に小幅続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物は前日清算値(終値に相当)比0.10ドル(0.14%)高の1バレル=73.77ドルだった。3月物は0.12ドル高の74.04ドル。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
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