- 2023/01/18 掲載
コアCPIの23年度見通し維持、24年度は引き上げ=日銀展望リポート
22年度のコアCPI見通しは前回10月の前年度比プラス2.9%から同3.0%に引き上げた。目先は輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から高めの伸びとなるが、23年度半ばにかけて政府のエネルギー価格の押し下げ効果もあってプラス幅を縮小していくとみている。
その後、マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率が高まる中、経済政策による押し下げ効果の反動もあって、再びプラス幅を緩やかに拡大していくと予想した。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの見通しは、22年度を前回のプラス1.8%からプラス2.1%に、23年度をプラス1.6%からプラス1.8%にそれぞれ引き上げた。24年度は前回のプラス1.6%を維持した。
経済・物価の見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価動向、ウクライナ情勢や資源価格・感染症の動向などを上げ、日本経済を巡る不確実性は「きわめて高い」と指摘。「金融・為替市場の動向や、日本の経済・物価への影響を十分注視する必要がある」とした。
<企業の価格・賃金設定行動、物価固有のリスク要因に>
物価固有のリスク要因としては、前回と同様、企業の価格・賃金設定行動と、為替変動や国際商品市況の動向を挙げた。
企業の価格・賃金設定行動を巡っては「上下双方向に不確実性が高い」とした。原材料コスト上昇を受けた価格転嫁が想定以上に加速し、物価が上振れる可能性があるという。それを受けて賃上げの動きが広がれば、賃金と物価が想定以上に上昇する可能性がある。
一方、物価や賃金が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が根強く残り、賃上げの動きが想定ほど強まらなければ、物価も下振れる可能性があるという。
(杉山健太郎 編集:青山敦子)
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