- 2023/02/02 掲載
アダニ中核企業が公募増資中止、「強行突破」方針を転換
空売りで知られる投資会社ヒンデンブルグ・リサーチが不正疑惑を指摘して以来、グループ企業の株価が急落していた中でも、前日まで「強行突破」で増資を進める考えを示していたが、方針転換した形だ。グループの総帥として、傘下企業の価値増大とともに近年資産を大きく拡大してきたゴータム・アダニ氏にとっても手痛い打撃になりそうだ。
アダニ氏は証券取引所向けの声明で、市場環境が異常な状況にある点を踏まえてアダニ・エンタープライゼズの取締役会が増資を続行するのは不適切との判断を下したと説明。一方で同社の財務は健全で、今回の増資中止は既存事業や将来の計画に全く影響を及ぼさないと強調するとともに、「市場が落ち着けば、われわれは資本市場戦略を再検討する」と付け加えた。
ヒンデンブルグは1月24日のリポートで、アダニ・グループによるタックスヘイブン(租税回避地)の不正利用や株価操縦、高水準の債務などを問題視したのをきっかけに、グループの上場企業7社の株が売り込まれ、合計860億ドルもの時価総額が消失した。アダニ側は、ヒンデンブルグの主張を全面的に否定している。
市場関係者からは、公募増資が実施されつつあったことは大口投資家の間でなおアダニ・グループに対する信頼が残っている証拠とみなされていたので、その中止によってグループへの疑念が強まる結果になったとの声が聞かれた。
PR
PR
PR