- 2023/02/08 掲載
NY市場サマリー(7日)ドル全面安、利回りやや上昇 株反発
<為替> ドルが1カ月ぶりの高値から下落し、円、スイスフラン、豪ドル、ニュージーランドドルなどに対し全面安となった。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が今年のインフレは大幅に低下すると述べ、ディスインフレが始まったとの見方を改めて示したことを受けた動き。
パウエル議長は1月の米雇用統計について「これほど強いとは予期していなかった」とし、「金融引き締めがなぜかなりの期間を要するプロセスになるかが示された」と述べた。
ただ、力強い雇用統計にもかかわらずタカ派スタンスに戻らなかったことで、すでに織り込まれている以上の利上げは行われないとの見方が市場で広まった。
コメリカバンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムス氏は「パウエル議長はより積極的な姿勢への転換を示す機会があったにもかかわらず、その機会を利用しなかった」とし、「FRBはあと1回、もしくはあと2回の利上げを実施した後、利上げを停止する」との見方を示した。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.2%安の103.39。パウエル議長の発言を受け、この日の安値を付けた。
ユーロはほぼ横ばいの1.0719ドル。 一時は1.0670ドルと、5週間ぶり安値を付けた。
ドルは対円で1.2%安の131.07円。前日は日本経済新聞が政府が黒田東彦日銀総裁の後任として雨宮正佳・日銀副総裁に就任を打診したと報じたことを受け、ドルは対円で1カ月ぶり高値を付けていた。雨宮氏は他の候補者よりもハト派的と見られている。
英ポンドは0.1%高の1.2035ドル。前日は1.1974ドルと、1カ月ぶり安値を付けていた。
豪ドルは0.9%高の0.6943米ドル。オーストラリア準備銀行(中央銀行)はこの日、25ベーシスポイント(bp)の利上げを決定。追加利上げが必要になるとの見通しを改めて示し、大方の予想よりもタカ派的なトーンを打ち出した。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 指標10年債利回りがやや上昇した。FRBのパウエル議長が、力強い経済指標によってインフレ低下の進展が脅かされれば、金利を予想以上に引き上げる必要があるかもしれないと述べたことを受けた。
ただ、パウエル議長の発言は市場参加者の予想よりもタカ派的ではなく、FRBが5.0─5.25%を上回る水準への利上げは行わないとの見解を裏付けたという。
TDアメリトレードのヘッドトレーディングストラテジスト、ショーン・クルーズ氏は、FRBは「すぐに利下げするわけではないが、道筋は良好で、達成すべきことが達成されると見込んでいる」と指摘。「一部の予想よりも一段と上昇するという感じは消えつつあるため、市場の追い風になるだろう」と述べた。
パウエル議長の発言を受け、指標10年債利回りは一時3.597%まで低下したが、その後、3.681%と1月6日以来の高水準に上昇。2年債利回りは4.426%となった。
モルガン・スタンレーのエコノミストは、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅予想を0.25ベーシスポイント(bp)上乗せした上で、12月に最初の利下げが決定されるとの見通しを維持した。
財務省は7日、400億ドルの3年債入札を実施したが、需要は低調だった。パウエル議長の発言中に実施されたことが影響したもよう。最高落札利回りは4.073%と、入札前取引の水準を3bp以上上回った。応札倍率は2.33倍と平均を下回った。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 不安定な値動きの中、反発して取引を終えた。FRBがインフレ抑制に要する時間を巡るパウエル議長の発言を消化した。
パウエルFRB議長は7日、ワシントン経済クラブでインタビューに応じ、2023年は「インフレが大幅に鈍化」する年になる見通しだと述べた。
これを受け、先週の雇用統計発表後に後退していた引き締め鈍化への期待が再び高まった。パウエル議長は1月の雇用統計について「これほど強いとは予期していなかった。金融引き締めがなぜかなりの期間を要するプロセスになるかが示された」と述べた。
主要株価指数は議長の発言中と終了後に大きく変動した。アナリストらはボラティリティーが近く解消される可能性は低いとの見方を示した。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 対ユーロでのドルの軟化に伴う割安感を受けた買いに支えられ、小幅続伸した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は、前日比5.30ドル(0.28%)高の1オンス=1884.80ドル。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 中国のエネルギー需要拡大への楽観的な見方やトルコで起きた地震による供給懸念が相場を支え、続伸した。米国産標準油種WTI中心限月3月物の清算値(終値に相当)は前日比3.03ドル(4.09%)高の1バレル=77.14ドルだった。4月物は2.92ドル高の77.39ドル。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY午後4時 131.07/131.10
始値 132.13
高値 132.16
安値 130.49
ユーロ/ドル NY午後4時 1.0723/1.0727
始値 1.0702
高値 1.0766
安値 1.0669
米東部時間
30年債(指標銘柄) 16時35分 105*03.00 3.7155%
前営業日終値 105*29.00 3.6720%
10年債(指標銘柄) 16時35分 103*20.00 3.6792%
前営業日終値 104*00.50 3.6320%
5年債(指標銘柄) 16時34分 98*15.25 3.8390%
前営業日終値 98*18.75 3.8140%
2年債(指標銘柄) 16時35分 99*11.38 4.4686%
前営業日終値 99*12.13 4.4560%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34156.69 +265.67 +0.78
前営業日終値 33891.02
ナスダック総合 12113.79 +226.34 +1.90
前営業日終値 11887.45
S&P総合500種 4164.00 +52.92 +1.29
前営業日終値 4111.08
COMEX金 4月限 1884.8 +5.3
前営業日終値 1879.5
COMEX銀 3月限 2217.7 ‐6.0
前営業日終値 2223.7
北海ブレント 4月限 83.69 +2.70
前営業日終値 80.99
米WTI先物 3月限 77.14 +3.03
前営業日終値 74.11
CRB商品指数 270.7944 +4.5797
前営業日終値 266.2147
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