- 2023/02/09 掲載
NY市場サマリー(8日)ドル小幅高、利回り高止まり 株反落
<為替> ドルがほぼ変わらずから小幅高。先週発表された米雇用統計が好調な内容となったものの、米金利の道筋に見通しに変更がないことを示唆する前日のパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の発言を受けた売りが一服した。ただ、FRBの利上げサイクルが終盤に迫り、市場が年内利下げの可能性を織り込む中、ドルの見通しは依然として下方に傾いていると、アナリストは指摘する。
パウエル議長は7日の講演で、経済の勢いがインフレ低下に向けたFRBの進展を脅かすなら、金利が予想以上に上昇することが必要となる可能性があると述べつつも、「ディスインフレ(インフレ鈍化)」のプロセスが進行していると感じているという認識を改めて示した。
また、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は8日、フェデラルファンド(FF)金利を5.00─5.25%に引き上げることは「需要と供給の不均衡を解消するため、今年行うべきこととして非常に妥当だと考える」と述べた。
市場では、FF金利が7月までに5.1%を若干上回る水準でピークに達するという予想が織り込まれた。ただ、投資家は利下げの可能性も見込んでおり、金利は年末までに4.8%になると予想されている。
フォレックス・ドット・コムとシティ・インデックスのシニアマーケットアナリスト、ジョー・ペリー氏は「市場のターミナルトレート予想が上昇すると同時に、年末までに0.25%ポイントもしくは0.5%ポイントの利下げの可能性も織り込まれている」とし、「これはドルにとりマイナス材料だ」と述べた。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は小幅高の103.38。
ユーロは小幅安の1.0724ドル。 一時、1月9日以来の安値となる1.067ドルを付ける場面もあった。
欧州中央銀行(ECB)当局者が7日に示したタカ派的な発言は消化された。ナーゲル独連銀総裁は、インフレ率を2%に戻すために一段の大幅利上げが必要になると述べ、シュナーベルECB専務理事は金利が十分に上昇したと示す証拠はほとんどないと指摘した。
ポンドは0.2%高の1.207ドル。
ドル/円は0.2%高の131.355円。
ニュージーランドドルは0.2%安の0.6308米ドル、豪ドルも0.5%安の0.6925米ドル。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)7日、25ベーシスポイント(bp)の利上げを決定。追加利上げが必要になるとの見通しを改めて示し、大方の予想よりもタカ派的なトーンを打ち出した。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 好調だった1月の雇用統計を受けたFRB当局者の一連の発言が消化される中、国債利回りは約1カ月ぶりの高水準近辺にとどまった。
パウエルFRB議長は前日、1月の雇用統計が好調な内容となり、インフレ率を目標の2%に引き下げるまで「かなりの時間」がかかることが示されたと指摘。経済の勢いがインフレ低下に向けたFRBの進展を脅かすなら、金利が予想以上に上昇することが必要となる可能性もあるという認識を示した。
この日はニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、FF金利を5.00─5.25%に引き上げることは「妥当」とし、FRBにはまだ利上げが控えており、今後しばらくは金融政策を制約的な水準に維持する必要があるとの見解を示した。
バンガード・フィクストインカム・グループのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、ジョン・マジヤイア氏は、先週発表の1月の雇用統計を受け「市場の見方はFRBと同調した」と指摘。「FRBの道筋はより確実になり、FRBの今後の措置に対する期待のボラティリティーは小さくなった」と述べた。
10年債利回り一時3.692%と、1月6日以来の水準に上昇。終盤の取引では3.657%。
2年債利回りは4.454%。6日の取引で4.493%と、1月6日以来の高水準を付けていた。
市場は14日に発表される1月の米消費者物価指数(CPI)に注目。バンガードのマジヤイア氏は、これまでに450ベーシスポイント(bp)の利上げが実施されたことなどを踏まえると、FRBがデータにより大きく依存する姿勢にシフトしたことは理にかなうとしている。
財務省が実施した350億ドルの10年債入札は、前日の軟調だった3年債入札とは対照的に堅調な需要を集めた。最高落札利回りは3.613%と、入札前取引の水準を約3bp下回ったほか、応札倍率は2.66倍と、2022年2月以来最高だった。
財務省は9日に210億ドルの30年債入札を実施する。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 反落して取引を終えた。ハイテク株主導で下げ、前日の上昇分の大半を失った。
アルファベットは傘下グーグルの人工知能(AI)を使った自動応答ソフト(チャットボット)「バード(Bard)」が不正確な回答を生成したことを受けて7.7%急落。S&P総合500種とナスダック総合の重しとなった。
FRB当局者らがインフレ抑制に向けた一段の引き締めを示唆したことも警戒感を誘った。
FRBのウォラー理事は、米国のインフレは今年も低下が見込まれるものの、インフレ目標2%の達成に向けたFRBの戦いは長期化し、引き締め的な金融政策が予想より長期にわたり維持される可能性があるとの見解を示した。
7日の米株式市場はパウエルFRB議長の発言を受けて上昇していた。議長は米経済の堅調が続けば予想以上の金利上昇が必要となる可能性もあるとする一方、「ディスインフレ(インフレ鈍化)」のプロセスが進行しているとの認識を改めて示した。
ナスダックは年初来で依然約14%上昇している。
この日はS&P500の主要業種別指数が軒並み下落し、通信サービスが4.1%安、情報技術が1.3%安となったほか、公益事業も1.7%下落した。
市場ではバイデン米大統領が前日の一般教書演説で企業の自社株買いへの課税強化を提案したことを消化する動きも見られた。
引け後に決算を発表したウォルト・ディズニーは時間外取引で1.6%上昇。通常取引は0.1%高で終えていた。
ドラッグストア大手CVSヘルスは3.5%高。プライマリーケア(1次医療)のオーク・ストリート・ヘルスに約95億ドルでの買収を提案した。オーク・ストリート・ヘルスは4.6%高。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 3日続伸。今後の米利上げペースに関心が集まる中を売り買いが交錯し、方向感に乏しい商い。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比5.90ドル(0.31%)高の1オンス=1890.70ドルとなった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 前日のパウエルFRB議長の発言を受けて、利上げ長期化への過度の懸念が和らぎ、3日続伸した。米国産標準油種WTI中心限月3月物の清算値(終 値に相当)は前日比1.33ドル(1.72%)高の1バレル=78.47ドルだった。 4月物は1.30ドル高の78.69ドル。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 131.37/131.40
始値 130.85
高値 131.53
安値 130.75
ユーロ/ドル NY終値 1.0709/1.0713
始値 1.0733
高値 1.0748
安値 1.0710
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 105*29.00 3.6718%
前営業日終値 105*08.50 3.7060%
10年債(指標銘柄) 17時05分 104*05.00 3.6154%
前営業日終値 103*21.50 3.6740%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*22.25 3.7900%
前営業日終値 98*14.50 3.8440%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*13.75 4.4292%
前営業日終値 99*11.25 4.4710%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33949.01 -207.68 -0.61
前営業日終値 34156.69
ナスダック総合 11910.52 -203.27 -1.68
前営業日終値 12113.79
S&P総合500種 4117.86 -46.14 -1.11
前営業日終値 4164.00
COMEX金 4月限 1890.7 +5.9
前営業日終値 1884.8
COMEX銀 3月限 2242.0 +24.3
前営業日終値 2217.7
北海ブレント 4月限 85.09 +1.40
前営業日終値 83.69
米WTI先物 3月限 78.47 +1.33
前営業日終値 77.14
CRB商品指数 270.9371 +0.1427
前営業日終値 270.7944
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