- 2023/02/24 掲載
NY市場サマリー(23日)ドル小幅高、利回り低下 株は値動き荒く
堅調な経済指標の発表が続いていることに加え、一部の政策担当者がより大きな幅での利上げを支持する発言を行ったことで、今月に入りドルは上昇。この日に労働省が発表した18日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が予想外に減少し、労働市場が引き続き引き締まっていることが示されたことも、こうした動きを後押しする要因になった。
アカディアン・アセット・マネジメント(ボストン)のグローバル・マクロポートフォリオマネージャー、クリフトン・ヒル氏は「2月は堅調な経済指標が相次ぎ、誰もが面食らった。米経済は減速しておらず、インフレは根強いことが改めて示された」とし、「こうしたことを背景に米国債利回りが上昇し、ドル高につながっている」と述べた。
終盤の取引でユーロは0.09%安の1.0597ドル。英ポンドは0.22%安の1.2017ドル。
円は対ドルで134.66円。市場では次期日銀総裁候補の植田和男氏の講演が注目されている。
主要6通貨に対するドル指数は0.06%高。一時は104.78まで上昇していた。
コンベラ(ワシントン)のシニアマーケットアナリスト、ジョー・マニンボ氏は、24日には1月の米個人所得・消費支出が発表されるほか、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)までに雇用統計や消費者物価指数などが発表されると指摘。「FRBがどこまで政策を引き締めるか、鍵は経済指標が握っている」と述べた。
<債券> 不安定な取引の中、国債利回りが低下した。投資家はすでに、FRBが今年中にあと数回の利上げを行うとの予想を裏付ける強い経済指標を織り込んでいる。
序盤の取引で10年債利回りは一時3.978%と、3カ月ぶりの高水準まで上昇した。この日発表された18日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が予想に反して減少したことや、2022年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値と同時に発表されたコア個人消費支出(PCE)価格指数が速報値から上振れたことが材料となった。PCE価格指数はFRBが物価の目安として注目している。
ただ終盤では4.6ベーシスポイント(bp)低下の3.876%だった。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、FRBが今後3回の米連邦公開市場委員会(FOMC)でそれぞれ25bpの利上げを行い、政策金利は7月に5.36%でピークに達するとみられている。
30年債利回りは5.7bp低下し3.872%だった。
2年債利回りは4.697%でほぼ変わらず。2・10年債の利回り格差はマイナス81.6bpに拡大した。
財務省がこの日実施した350億ドルの7年債入札は不調だった。最高落札利回りは4.062%と、入札締め切り時点の想定を上回った。需要の目安となる応札倍率は2.49倍で、先月の2.69倍や平均の2.51倍を下回る結果となった。
<株式> 値動きの荒い展開の中、主要株価3指数がプラス圏で取引を終了。S&P総合500種は5営業日ぶりに反発した。投資家はFRBの利上げが米経済にどのような影響を与えるか見極めようとしている。
このところの指標は経済の強さを示しており、政策当局者もタカ派的なメッセージを発している。
23日に発表された新規失業保険週間申請件数は予想外に減少し、労働市場が引き続き逼迫していることを示した。また、第4・四半期の国内総生産(GDP)改定値は堅調な伸びを示したが、主に在庫増加が要因だった。
S&P500はこの日、一時50日移動平均線(3980ポイント)を下回って推移していたが、午後に入り切り返し、今週初めて4000ポイントを上回って引けた。
半導体大手エヌビディアの好決算などが支援材料となった。同社が22日に示した第1・四半期(2─4月)売上高見通しは、人工知能(AI)を使った自動応答ソフト(チャットボット)などAI技術強化に向けた企業の支出拡大が追い風となり、市場予想を上回った。
エヌビディアは14%急伸。他の半導体株も上昇し、ブロードコム、インテル、クアルコムは0.6─1.8%高。フィラデルフィア半導体指数は3.3%上昇した。
S&P主要11セクターでは7セクターが上昇。原油価格の上昇に支援され、エネルギーは1.3%値上がり。同指数は前日まで7営業日続落していた。
一方、通信サービスは5営業日続落。0.7%安と下落率は主要セクターで最大だった。ネットフリックスの下げ(3.4%)が重しとなった。同社は一部の国で利用料を値下げしたことを明らかにした。
電子商取引(EC)大手イーベイは5.2%安。下落率は昨年9月13日以来の大きさ。上期の需要についてさえない見通しを示したことが嫌気された。
バイオ医薬品大手モデルナは6.7%下落して昨年11月3日以来の安値を付けた。新型コロナウイルスワクチンについて、第4・四半期の売上高が予想を上回ったにもかかわらず、年間売上高見通しを50億ドルに据え置いたことが背景。
<金先物> 堅調な米雇用関連指標などを背景にFRBの利上げ長期化懸念が再燃し、4営業日続落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比14.70ドル(0.80%)安の1オンス=1826.80ドル。
<米原油先物> ロシアが原油輸出削減を計画しているとの報に需給逼迫(ひっぱく)懸念が強まり、反発した。米国産標準油種WTI中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比1.44ドル(1.95%)高の1バレル=75.39ドルだった。5月物は1.41ドル高の75.60ドル。
ロイターは、ロシアが欧州連合(EU)などによる原油と石油製品輸出価格への上 限設定措置に対抗し、ロシア西部の港からの3月の原油輸出を前月比で最大25%削減す る計画だと報道。ロシアは先に、日量50万バレルの減産も表明しており、供給不足へ の懸念が台頭した。下落基調が続いていた後を受けて安値拾いの買いも入りやすかった。
一方、米エネルギー情報局(EIA)が発表した17日までの1週間の米石油在庫統計によると、戦略石油備蓄(SPR)を除く原油の在庫は、前週比760万バレル増の4億7900万バレル。市場予想(210万バレル増)を大幅に上回る積 み増しとなり、上値を削る場面もあった。
ドル/円 NY終値 134.70/134.74
始値 134.92
高値 135.36
安値 134.49
ユーロ/ドル NY終値 1.0595/1.0598
始値 1.0603
高値 1.0620
安値 1.0578
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*10.50 3.8903%
前営業日終値 94*22.00 3.9280%
10年債(指標銘柄) 17時05分 96*25.50 3.8904%
前営業日終値 96*17.00 3.9230%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*15.25 4.1169%
前営業日終値 99*13.00 4.1330%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.25 4.7036%
前営業日終値 99*27.50 4.6990%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33153.91 +108.82 +0.33
前営業日終値 33045.09
ナスダック総合 11590.40 +83.33 +0.72
前営業日終値 11507.07
S&P総合500種 4012.32 +21.27 +0.53
前営業日終値 3991.05
COMEX金 4月限 1826.8 ‐14.7
前営業日終値 1841.5
COMEX銀 3月限 2130.6 ‐37.1
前営業日終値 2167.7
北海ブレント 4月限 82.21 +1.61
前営業日終値 80.60
米WTI先物 4月限 75.39 +1.44
前営業日終値 73.95
CRB商品指数 266.9393 +0.8359
前営業日終値 266.1034
PR
PR
PR