- 2023/03/15 掲載
きょう春闘集中回答日、早期の満額表明相次ぐ 持続性が焦点
こうした賃上げの波が大手から中小企業にも波及するか、非正規社員、期間・契約従業員などにも広がるか、物価上昇率を上回る賃上げ率を実現できるか、積極的な賃上げが来年以降も継続するかどうかが焦点となっている。
国内最大の労働組合組織「連合」は基本給を底上げするベースアップ(ベア)相当分として3%程度、定期昇給分を含めて5%程度の賃上げを要求。連合の1日正午時点の集計によれば、傘下の労働組合2614組合が要求した賃上げ率は平均4.49%となっており、4%を超えれば1998年以来、25年ぶりとなる。
相場のけん引役とされるトヨタ自動車をはじめ、ホンダや日産自動車など自動車大手は集中回答日を前に満額回答した。ホンダが賃上げ5%と年間一時金6.4カ月分、日産が賃上げ3.4%と年間一時金5.5カ月分で事実上決着。サントリーホールディングスが基本給一律1万円のベアの要求に満額回答して妥結するなど、早期決着する動きは広がりをみせている。
流通、繊維、外食、サービス業などの労働組合で構成する「UAゼンセン」も9日、集中回答日前に18社が満額回答したと発表。UAゼンセンの統一要求は正社員とパートなどを合わせた全体の賃上げ率で6%程度と過去最高を掲げる。
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは正社員6.1%、パートなどの時給6.99%の引き上げですでに妥結。小売大手イオン子会社のイオンリテールも正社員5.03%、パートなどの時給7.0%で決着済みだ。
電機産業の労働組合が加盟する「電機連合」は、主要12社の交渉でベア相当の賃上げとして月7000円を要求。妥結を容認する最低水準を月5000円以上として経営側と大詰めの交渉を続けている。
岸田文雄首相は「インフレ率を超える賃上げの実現」を強く要請している。さらに、ことしの春闘が起点となって、政府が優先課題として掲げる持続的に賃金が上昇する環境を整える「構造的な賃上げ」につながるかどうか注目される。
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