- 2023/04/07 掲載
米高配当株ファンドから資金が急激に流出、MMFに乗り換え
リフィニティブのデータによると、第1・四半期の米高配当株ファンドからの資金流出額は56億ドル。流出自体も過去10四半期で初めてだった。一方でMMFには3915億ドルと、この3年で最も大規模な資金流入が起きた。
米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続するとの観測を背景に、今年は短期国債利回りが上昇基調にあることがこうした事態を生み出している。
ウェルス・エンハンスメント・グループのシニアポートフォリオマネジャー、ヨシオカ・アヤコ氏は「MMFのインカム収入と安定感が株式に比べて魅力的であり続ける限り、(高配当株ファンドからの)資金流出は止まらないかもしれない」と述べた。
MMFの主要投資先である3カ月物米短期国債利回りは3月9日に5.061%と16年ぶりの高水準に跳ね上がり、足元でも4.8%前後で推移。これに対してリフィニティブのデータに基づく米大型・中型株の平均配当利回りは1.8%にとどまる。
また第1・四半期は、米国の投資家向け配当支払いの主な担い手となっている金融とエネルギーのセクターが約6%下落と振るわなかったことも、高配当株ファンドからの資金流出につながった。
アバディーンのグローバル株式副責任者ジョシュ・デューイッツ氏は、投資家はナスダック総合の銘柄を追いかけ、高配当株ファンド売りに動いたと指摘する。これらの銘柄は配当金が少ないかゼロだが、第1・四半期の値動きは好調だった。
高配当株ファンドの第1・四半期の個別状況を見ると、iシェアーズ・コア・ハイ・ディビデンドETF(上場投資信託)からは17億7000万ドル、バンガード・ディビデンド・アプリシエーション・インデックスからは10億2000万ドル、TD・USブルーチップ・エクイティ・インベスター・シリーズ・ファンドからは6億4500万ドルがそれぞれ流出した。
ただ高配当株ファンドは、バランスシートとキャッシュフローがしっかりしていて、景気悪化に対する耐性が期待できる銘柄に資金を振り向けている以上、これからも比較的安全な投資先だとの声も聞かれる。
フレックスシェアーズ・エクスチェンジ・トレーディッド・ファンズのシニアバイスプレジデント、クリストファー・ヒューマー氏は「これまで株式のキャピタルゲインが配当収入を圧倒する局面を経験してきたが、株式のパフォーマンスにおける重要な要素の1つとしての配当金の力を軽視するべきではない。不安定な市場では、配当はまさに船の竜骨のように荒れ狂う海で安定的なリターンを提供してくれる」と強調した。
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