- 2023/04/14 掲載
FRB1回利上げで停止可能、物価に落ち着き=アトランタ連銀総裁
今週発表された3月の消費者物価指数(CPI)は前年比伸び率が5.0%に鈍化。3月の卸売物価指数(PPI)は前月比で0.5%下落した。
ボスティック氏は、最近の物価統計は「もう1回動くことと合致する」とし、「2%への道を歩んでいることを示唆する多大な勢いがある」と述べた。
5月2─3日の連邦公開市場委員会(FOMC)は、0.25%利上げが予想されている。
ボスティック氏は、昨年来の積極的な利上げの影響が今、ようやく経済に表れ始めているとの認識を示し、それが、あと1回利上げをしたらいったん休止し、経済・物価動向を研究し成長・雇用への打撃を抑えることの十分な理由になっていると指摘した。
「さらにやるべきことがある。次のステップは、あとどれくらい必要なのか見極めることだと思う」と述べ、使う指標にもよるがインフレ率はFRBの目標を2─3倍上回る水準にあると指摘した。
ただFRBが十分制約的な水準まで金利を引き上げ、物価が低下する間は据え置くという計画に言及し、間違いなく不快なトレンドが見られない限り、計画は変わらないとの見解を示した。
<米地銀混乱の影響>
シリコンバレー銀行の経営破綻をはじめとする最近の米銀行界の混乱は、ボスティック氏の金融政策の運営方針に関する考えに影響を及ぼした。
3月21─22日のFOMCについて、当初は0.5%利上げに前向きだった。しかし3月10日にシリコンバレー銀行が破綻、そのすぐ後にシグネチャー銀行が破綻。さらにFOMCの直前にクレディ・スイスの救済劇という展開となり、「『保留か一時停止』にシフトダウンせざるを得なかった」という。
ただFOMCでは、他の多くのメンバーと同様、この混乱が融資に劇的な打撃を与えたり、予想以上に深刻な景気減速を引き起こしたりすることはないと確信し、以降はその認識を持ち続けていると述べた。
ボスティック氏は、景気後退や失業率の大幅上昇を起こすことなく物価を抑制できると考えている。
FRBスタッフやFOMCメンバーは年内のリセッションを視野に置き、失業率は1%ポイント上昇し4.5%に達すると予想する。
これに対し、ボスティック氏は、失業率が4%を超える必要はなく、経済は年率1%程度の非常に低水準でも成長を続けられると考える。
個人消費の好調持続、それによる雇用の強さについては、新型コロナウイルス対策の巨額の財政出動によって経済にひずみが生じたためだとみている。その上で、こうしたひずみは、経済の勢いを削いだり、物価を抑えるために雇用の多大な「緩み」を生じさせることなく時間の経過とともに是正されるとの考えを示した。
ボスティック氏は、「人々や企業は、過剰な消費を促すような異常な金融状態に置かれている」と指摘し「その異常さは、経済全体に作用していない」と述べた。
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