- 2023/04/20 掲載
貿易赤字が9年ぶり過去最大、22年度は赤字21.7兆円 ウクライナ危機直撃
[東京 20日 ロイター] - 財務省が20日発表した貿易統計速報によると、2022年度の貿易収支は21兆7285億円の赤字だった。ロシアによるウクライナ侵略が直撃して9年ぶりに過去最大を更新した。今後も輸入が輸出を上回る基調が続き、23年度は10兆円を超える貿易赤字になるとの見方が多い。
統計によると、輸出は前年比15.5%増の99兆2265億円だった。これに対し、輸入が32.2%増の120兆9550億円に膨らみ、差額の赤字額は比較可能な1979年度以降で最大となった。
貿易赤字が膨らんだのは、原油高や歴史的な円安進行で「輸入価格が大きく上がったことが主因」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長)とみられている。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「22年度はウクライナ危機が直撃し、原油価格が急激に上昇し、遅れて円安が進んだ。輸出入とも価格面での変化が大きかった」としている。
先行きは、輸入価格の落ち着きを受けて22年度を超える貿易赤字を予想する声は少ない。もっとも欧米景気の不透明感から輸出の勢いが鈍く、「今年度も15兆円規模の赤字になる可能性がある」と、ニッセイ基礎研の斎藤氏は指摘する。
米国の利上げ打ち止め観測や利下げに転じる可能性が意識され、22年度よりは円高に振れやすい面もある。SMBC日興の宮前氏は「昨年度対比では原油安、円高になることが予想され、23年度も価格面の影響が大きければ輸出入とも(金額が)縮小しやすい。23年度の貿易赤字額は10兆円台半ばになる」とみている。
これまでは東日本大震災後の原発停止で燃料輸入がかさんだ13年度(13兆7564億円)の赤字額が最も大きかった。年度ベースでの赤字は2年連続。
<20カ月連続赤字>
併せて発表した23年3月の貿易赤字額は7545億円で、20カ月連続の赤字となった。輸出が前年同月比4.3%増の8兆8243億円だったのに対し、輸入は7.3%増の9兆5788億円だった。
対米や、欧州連合(EU)向けの輸出は伸びたが、アジアや中国向けの輸出が振るわなかった。対中輸出は前年同月比7.7%減の1兆5516億円だった。
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