- 2023/04/25 掲載
円債積み増し、4─9月にYCC解除か修正見込むも「平準買い」=23年度・第一生命運用計画
日銀の金融政策については、4─9月のどこかの時点でイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を解除するか修正すると見込むが、円債積み増しはペースに緩急をつけない「平準買い」で対応する構えだ。
25日に開催した資産運用計画説明会で、堀川耕平運用企画部長が明らかにした。
第一生命では、経済価値ベースの資本充足率の安定性を高めるため、前年度に続いて超長期の円債積み増しと国内株式の削減を軸に、市場関連リスクの削減に取り組む。
このうち円債については、金利リスク削減を目的とした責任準備金対応債券の積み増しにより、超長期国債を中心に残高を増やす。
ただ堀川氏は「円金利は確かに昨年より若干上昇してきたので我々には好都合だが、水準はここで全力で投資をしてアセットの利回りを固定するにはまだ低い。当社の負債利回りを考えれば(30年金利が)1.5%を超えて2%に近付くような水準が期待される」として、積み増し規模は昨年度と「さほど変わらない程度」になると述べた。25日時点の30年金利は1.355%。
第一生命では日銀の金融政策について、4─9月のどこかでYCC政策を解除するか、長期金利の許容変動幅の上限引き上げが行われる、とのシナリオを描いており、それにより「円金利が一時的に上昇する可能性があるが、むしろそこがピークで年度後半にかけては落ち着くだろう」と予想する。
その上で、堀川氏は超長期債積み増しのペースについて「相場ものでどうなるか分からないことに加え、金利リスク削減という明確な目的を持ってやっていることでもあり、現時点では粛々と残高を増やす平準買いを考えている」と述べた。
一方、為替リスクのヘッジコストの高止まりが見込まれる中、同社ではリスクリターンが急速に悪化したヘッジ付き外貨建て債券の残高を前年度に続いて削減する。
削減規模について、堀川氏は「22年度は3兆円程度残高を減らした。今年度も同様の規模で減らすと残高がゼロになってしまうが、そこまでは考えていない」と述べ、減少幅は前年度実績を下回るとの見通しを示した。
国内株式の残高は、経済価値ベースの資本充足率の安定化に向けた株式リスクの削減を目的に売却を行うため、減少する見込み。外国株式については、現状が概ね適正なポートフォリオになっているため、増減はリスク許容度や株価水準次第だという。
このほか、収益力向上の取り組みの柱となるオルタナティブ資産は、前年度に続き、残高を積やす計画。このうちヘッジファンドはポートフォリオ全体のリスク分散につながる戦略を選択して投資、プライベートエクイティは収益力向上を目指してバイアウトファンド・ベンチャーファンド、またリアルアセットへの投資を強化する。不動産も、用途分散を目的とした新規投資や入れ替えにより、22年度に続いて残高は増加する見込み。
第一生命の一般勘定の資産残高は、12月末時点で33兆9668億円。うち外貨建て資産は5兆8208億円(17.1%)。
2023年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 0.10―1.30%(年度末0.60%)
米国債10年物利回り 2.50―4.00%(同3.00%)
日経平均株価 2万―3万5000円(同2万8000円)
NYダウ 2万5000─3万8000ドル(同3万3500ドル)
ドル/円 110―140円 (同125円)
ユーロ/円 120―155円 (同138円)
(植竹知子)
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