- 2023/04/27 掲載
焦点:国内生保、23年度は円債回帰鮮明 YCC修正見極め追加投資も
[東京 27日 ロイター] - 国内生命保険会社は2023年度の資産運用で、日本国債投資に回帰する動きを鮮明にしている。日銀は6月にイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)政策を修正するとの見方から、金利上昇局面を捉えて追加投資するとの計画が多いが、政策修正のタイミングを待つことなく、年度を通じて平準的なペースで行うとの方針もあった。
<円債投資のペース配分は分かれる>
日銀の金融政策については、6月にYCC政策の修正か撤廃があるとのシナリオを想定し、そのタイミングで国内金利が上昇するとの見通しを立てる生保が多い。そうした想定のもと、年度を通じた「平準買い」にプラスして、金利の上昇局面を捉えて購入を積極化させる方針なのが、日本生命、明治安田生命、住友生命などだ。
日本生命の都築彰・執行役員財務企画部長は「6月に日銀のYCC再修正を見込む中で、(年度初は)全然買わないということではないが、少しペースはゆっくり目にスタートしたい。金利が上がったところで追加で買えればと思っている」との考えを示した。
一方、「タイミングは計らない」方針を示す生保もある。「相場もので実際に金利が上がるかどうか分からない上、我々の超長期国債投資は金利リスク削減という明確な目的を持ってやっていることでもあり、粛々と残高を増やす平準買いを考えている」(第一生命の堀川耕平・運用企画部長)という。
富国生命も「日銀のYCC政策撤廃による金利上昇を待つのではなく、淡々と平準的に買う」(鈴木善之・執行役員財務企画部長)と話している。
<円債投資の加速、30年金利で1.5%が目安との声>
27日時点の30年日本国債金利は1.3%付近だが、1.5%を超えるような局面で、追加投資を考えたいとする生保が多い。
日本生命では、積極的に買える金利水準について「30年金利で1.5%から2%に近付くと妙味が出る」(都築氏)としている。
第一生命も「負債利回りを考えれば、30年金利が1.5%を超えて2%に近付くような水準」(堀川氏)が望ましいとの考えを示す。
住友生命は「30年金利が1%台後半に上昇すれば追加での資金配分を検討する」(増田光男・運用企画部長)としている。
<ヘッジ外債はソブリン慎重>
為替ヘッジコストが上昇していることから、ヘッジ付き外債には慎重な生保が多いが、比較的高い利回りを期待できる米社債などのクレジット物への投資は、引き続き継続するとの運用方針も多かった。
かんぽ生命は、ヘッジコストの高止まりが見込まれる中で、ヘッジ外債については前年度に続き国債の売却を行うが、同コストをカバーできる米国などの社債への入れ替えを実施する。
「投資適格格付けで150ベーシス程度の上乗せ金利(スプレッド)が付く欧米のクレジット資産へ入れ替えることで、ヘッジコストを賄える」(太陽生命の清友美貴・執行役員運用企画部長)との声もあった。
一方、為替ヘッジを付けないオープン外債については方針が分かれた。富国生命は、円高リスクのあるオープン外債は残高を圧縮する計画だが、大樹生命は、今年度は引き続き海外金利が高いとみて数百億円程度の積み増しを見込んでいるという。
(植竹知子 取材協力:金融マーケットチーム 編集:伊賀大記)
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