- 2023/04/27 掲載
アングル:オンライン広告、アルファベットとメタが堅調 中堅は苦戦か
オンライン広告は新型コロナウイルス流行時に急拡大したが、ここ数四半期は勢いが鈍っている。金利上昇や記録的な高インフレで景気に対する懸念が広がり、広告主が予算を削っていることが背景。
ただ、調査会社MAGNAの先月のリポートによると、今年のソーシャルメディア広告市場は、昨年よりもわずかに速いペースで拡大するとみられている。
こうした中「広告主は愛着があり信頼できる慣れ親しんだプラットフォームに戻ってきている」(ザックス・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏)。
グーグルの親会社アルファベットの第1・四半期の広告収入は545億5000万ドルと、前年同期から減少したものの、市場予想を上回った。
同社のフィリップ・シンドラー最高業務責任者は25日の決算会見で、広告主が「以前より少ないリソースでより多くのことを」成し遂げなければならない環境にあると指摘した。
アルファベットは25日、人工知能(AI)への取り組みを進めていると強調。ユーザーのニーズに合った広告の表示や広告に利用できる文章の自動生成などにAIが貢献していると述べた。
26日にはメタも同様の見解を示した。傘下のインスタグラムではAIの推奨により、ユーザーの利用時間が第1・四半期に24%増えた。同社はAIへの投資を進め、広告支出の拡大を促す方針を示した。
同日の時間外取引ではメタの株価が12%急騰した。
MAGNAによると、今年のソーシャルメディア広告市場は6%拡大し660億ドルとなる見通し。昨年は2%の増加にとどまっていた。アップルのプライバシーポリシー変更で、ターゲティング広告に使う個人情報の収集が難しくなったことが一因だ。
「広告主には、使いやすいツールのある慣れ親しんだプラットフォームを使い続けるという惰性が働くことが多い」とインサイダー・インテリジェンスの首席アナリスト、デボラ・アホ・ウィリアムソン氏は指摘する。
アナリストによると、27日に四半期決算を発表する画像・動画共有サービスのピンタレストやスナップは、巨大テック企業と比べるとユーザーが少なく、広告主が敬遠する可能性がある。
リフィニティブによると、スナップの第1・四半期の売上高は前年同期比2%減となる見通し。
インサイダー・インテリジェンスの首席アナリスト、ジャスミン・エンバーグ氏によると、スナップは拡張現実(AR)など新技術に投資しているものの、収益化に苦戦している。
ピンタレストの四半期決算は、リフィニティブのデータで前年比3%の増収が見込まれているが、モネス・クレスピ・ハルトのアナリスト、ブライアン・ホワイト氏は「競争環境は依然厳しく」広告主がオンライン広告予算を「慎重」に管理しているため、ピンタレストの見通しが不安定になる可能性があると分析している。
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