- 2023/04/28 掲載
アングル:米大手ITなど成長株、好業績でも強まる割高化懸念
ナスダック100指数の年初来上昇率は19%。合計ウエートが同指数の4割に達するアップル、マイクロソフト、グーグル親会社アルファベット、アマゾン・ドット・コムの株価の平均上昇率は約27%だが、この間にS&P総合500種は7%前後しか上がっていない。
これによりナスダック100とS&P総合500種の株価収益率(PER)はそれぞれ24.5倍と18.4倍と、その格差は昨年初め以来の大きさになった。
過去10年のほとんどの期間が超低金利局面で、昨年になって米連邦準備理事会(FRB)が急激な利上げを実施した点を踏まえれば、成長株のバリュエーションは一段と割高に映る。なぜならハイテクなどの成長株は将来より大きな利益をもたらすと期待されるが、そうしたキャッシュフローの現在価値は金利上昇で割引率が増大するからだ。
マーフィー・アンド・シルベスト・ウエルス・マネジメントのシニア・ウエルスアドバイザー兼市場ストラテジストのポール・ノルテ氏は「長期的な観点で(ハイテク株買いが)適切な決断かどうか確信は持てない」と話す。
ノルテ氏は、特にバリュエーションを巡る懸念とFRBが高金利を維持するとの予想から、ハイテク株の投資判断をアンダーウエートとしている。
米大手ITのうちこれまでマイクロソフトとアルファベット、メタ・プラットフォームズが予想よりも好調な決算内容を発表してきた。こうした業績面のプラス要素が、昨年苦戦したハイテクなどの超大型株の急反発を正当化する役割を果たし、これらの企業の強固な事業モデルは、不安定さが増す経済環境を乗り切っていけるという投資家の期待につながっている。
ただ懐疑的な見方もある。
ジョーンズ・トレーディングのマイケル・オルーク氏は、マイクロソフトの株価上昇に言及し、「時価総額2兆2000億ドルで成長率が1桁台前半から半ばの企業のPERが30倍を超えるというのは何とも興味深い市場だ」と述べた。
ランズバーグ・ベネット・プライベート・ウエルス・マネジメントのマイケル・ランズバーグ最高投資責任者は、メタ・プラットフォームズの1株当たり利益が前年比で大幅に減少したと指摘する。
メタの株価は27日に15%上昇し、年初来でほぼ2倍になった。ランズバーグ氏は「既に切り下がっていた利益予想を超えたからといって好印象は持ちにくい。われわれは大型ハイテク株の買い手にはならない。それらは非常に過大評価されている」と記した。
もっとも何カ月も前からハイテク株への先行き懸念が広がっていたにもかかわらず、今のところ投資家の資金流入が止まる気配は見えない。バンク・オブ・アメリカの機関投資家調査では、ハイテク株投資は最も集中的に行われる取引と称されている。
ベーカーアベニュー・ウエルス・マネジメントのチーフストラテジスト、キング・リップ氏によると、今後数カ月で経済成長を巡る不安が強まったとしても、成長株は一段と上昇してもおかしくない。「厳しい経済環境になるだろうが、それでも市場参加者は守りの投資をする場所として超大型株に目を向ける」という。
(Lewis Krauskopf記者)
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