- 2023/06/01 掲載
カナダ第1四半期GDP、予想上回る3.1%増 利上げ観測高まる
[オタワ 31日 ロイター] - カナダ統計局が31日発表した2023年第1・四半期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比3.1%増だった。ロイターがまとめた市場予想(2.5%増)とカナダ銀行(中央銀行)予測(2.3%増)をそれぞれ上回った。
貿易の好調と家計消費の伸びが経済を押し上げた。一方、在庫積み増しの遅れや、住宅投資の減少などが抑制要因となった。
今月発表された他の指標でも経済が予想より過熱していることが示されており、中銀への利上げ圧力となる可能性がある。
第1・四半期は財・サービスの輸出が2.4%増え、自動車や小型トラックの増加がけん引した。輸入は0.2%増。
トラックやバン、スポーツタイプ多目的車(SUV)の新車購入と、衣料品などの半耐久財への家計支出が増えた。食品・非アルコール飲料サービスや、アルコール飲料サービスへの支出も増加。
一方、非耐久財への支出はわずかながら減った。
3月の前月比は横ばい。市場予想は0.1%減だった。
4月(速報値)は0.2%増となった公算。鉱業、採石、石油・ガス採掘、運輸・倉庫などの部門が増加したものの、卸売・小売業、行政部門の減少が伸びを抑えた。
中銀は昨年3月から今年1月にかけて政策金利である翌日物金利の誘導目標を合計4.25%ポイント引き上げた。その後は政策金利を4.5%に据え置いているが、必要に応じて利上げを再開する姿勢を示している。
カナダ統計局が今月16日に発表した4月消費者物価指数(CPI)は前年同月比で4.4%上昇。上昇率が拡大したのは10カ月ぶりだった。
今回のGDP統計で一連の利上げにもかかわらずカナダ経済に回復力があることが示されたことを受け、キャピタル・エコノミクスの北米副主席エコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は「GDPとインフレ率の双方が中銀の予想を上回っており、早ければ来週にも利上げが実施される可能性がさらに高まった」と述べた。
一方、BMOキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、ダグ・ポーター氏は「来週(の利上げ)は早すぎる」と指摘。 ただ「中銀は再利上げの可能性があると強く示唆する」との見方を示した。
中銀の次回政策決定会合は6月7日。短期金融市場では、同会合で利上げが実施される確率が40%であることが織り込まれている。GDP統計発表前は28%だった。9月までに0.25%ポイントの利上げが決定されるとの予想は完全に織り込まれている。
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