- 2023/06/01 掲載
米利上げ6月見送りの公算大、高官発言が「権威あるシグナル」に
ジェファーソン理事は31日、FRBが今後の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定したとしても、金融政策の引き締めが終了したと受け止めるべきではないと述べた。
「次回の会合で利上げを見送れば、FOMCが追加引き締めの程度について決定する前により多くのデータを見ることができる」と指摘。「今後の会合で政策金利を据え置くという決定は、今回の(引き締め)サイクルにおける金利のピークに達したことを意味すると解釈すべきではない」とした。
ジェファーソン理事は、ラエル・ブレイナード氏が国家経済会議(NEC)委員長に就任したことで空席になっているFRB副議長に指名されている。
FOMCを控えたブラックアウト(発言禁止)期間開始前のこの発言は重要な手掛かりと受け止められた。
エバーコアISIのクリシュナ・グハ副会長は「このメッセージは事前にパウエル議長と合意していただろうし、FRB指導部の集団的見解を表していると確信している」と指摘。「6月に利上げするつもりはないという権威あるシグナル」と表現した。
市場では政策金利の据え置きをしつつも追加利上げの可能性を排除しない、いわゆる「タカ派的な停止」に傾いたと受け止められ、6月の利上げ確率が発言前の約70%から約30%に急低下した。
また、フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁も6月13─14日の次回FOMCについて、現時点で利上げの見送りを支持していると述べた。ただ、近く発表される経済指標で考えが変わる可能性もあるとした。
一方、主要なインフレ指標は4月に加速し、FRB目標の2倍を超える水準にある。
クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、利上げ停止を「やむを得ない」と考える理由は見当たらないとの認識を示した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が31日に報じた。
ボウマン理事は住宅市場の低迷など、FRBがインフレ率を低下させると期待していた要因について、回復の兆しが見えてきたことから予想以上に助けにならなかったかもしれないと述べた。
ジェファーソン氏は、インフレ率は依然として「高すぎる」ものの、一部の指標では鈍化が示されていると言及。一方で、家計が新型コロナウイルス禍で積み上げた貯蓄を使い果たし、信用コストが上昇する中で、年内の米経済は引き続き停滞すると見込んだ。
さらに一連の銀行破綻を受けて、金融機関がどの程度融資を制限するかはまだ不透明な一方、景気鈍化に伴い企業によるローン返済が滞り始めるかもしれないとした。
リセッション(景気後退)入りは想定していないものの、15カ月にわたる一連の利上げを受けて慎重になる理由があるとし、「金融政策は長く可変的な遅れを伴って機能し、その効果が完全に需要に反映されるには1年では足りないことは歴史で示されている」と語った。
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