- 2023/06/09 掲載
中国5月物価統計、PPIは予想以上に下落 CPI伸び加速
[北京 9日 ロイター] - 中国国家統計局が9日発表した5月の生産者物価指数(PPI)は前年比4.6%下落し、ロイター調査の予想(4.3%下落)を上回る落ち込みになった。需要の低迷が製造業に重くのしかかった。下落は8カ月連続。
中国経済は第1・四半期に予想を上回る成長を遂げたが、5月の経済指標では製造業の景況悪化や輸入の減少が示されている。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、Zhiwei Zhang氏は「デフレリスクが依然として経済に重くのしかかっている」と述べ、「最近の経済指標は、経済の冷え込みを示す一貫したシグナルを送っている」と説明した。
一方、5月の消費者物価指数(CPI)は前年比0.2%上昇し、前月の0.1%上昇から伸びが加速したものの、市場予想(0.3%上昇)には届かなかった。
CPIの主要項目である食品は前年比1.0%上昇。伸び率は前月の2.4%から鈍化した。前月比では0.7%下落した。
政府は2023年のインフレ率目標を3%程度に設定している。22年のインフレ率は2%だった。
キャピタル・エコノミクスの中国担当責任者、ジュリアン・エバンスプリチャード氏は「インフレ率は労働市場の引き締まりによって年後半にある程度の上昇圧力がかかるだろうが、政策当局が望む範囲内にはとどまるだろう」と指摘。政府が掲げる3.0%前後というインフレ目標の上限が試される可能性は低く、インフレが政策支援強化の障壁になるとは考えにくいとの見方を示した。
一部のエコノミストは、中国人民銀行(中央銀行)による利下げ、あるいは金融システムへの流動性追加供給を見込んでいる。
ハンセン銀行のチーフエコノミスト、ダン・ワン氏は「金融政策や財政政策の引き締めが続いており、所得の伸びも低いため内需は落ち込んでいる」と指摘した。
中国の大手国有銀行は8日、人民元預金の金利を引き下げたと発表した。銀行の純金利マージンに対する圧力緩和や貸出コスト削減につながり、金融部門を中心に経済全般を支援すると見込まれている。
アナリストは2023年の中国経済成長見通しを下方修正しつつある。政府は23年の成長率目標を5%程度に設定している。
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