- 2023/06/19 掲載
金価格高騰、1グラム1万円目前=円安進行やインフレ警戒が後押し
金の小売価格が高騰し、1グラム当たり1万円の大台が目前に迫っている。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や急激な物価上昇など、経済情勢の先行きが見通しづらい中、有事やインフレに強い安全資産とされる金は投資対象としての魅力が向上。さらに、円安・ドル高の進行が円建て価格の値上がりに拍車を掛けた。
貴金属販売大手の田中貴金属工業(東京)によると、19日の店頭小売価格(税込み)は前週末比115円高の9876円と過去最高値を更新した。日銀が15、16日の金融政策決定会合で大規模金融緩和策の継続を決め、昨年11月以来約7カ月ぶりの水準まで円安が進行したことが追い風となった。
根強いインフレへの警戒を受け、国際的な指標であるニューヨーク金先物相場が高止まりしていることも下支えとなっている。
金価格は1970年代、2回のオイルショックによる混乱から高騰。その後、東西冷戦が終結すると安全資産を手放す動きが広がり、90年代末には1000円を割り込んだ。しかし、2000年以降は米同時多発テロやリーマン・ショック、米欧諸国と中国やロシアの摩擦を背景に上昇傾向が続いている。
欧米の金融引き締めが投資意欲を減退させる可能性はあるものの、ある専門家は「1万円は通過点。金融市場の不安定さや地政学リスクへの警戒から、金は買われやすい地合いが続く」(商品アナリスト)と強気の見方を示す。
金の地金だけでなく、金貨にも注目が集まっている。泰星コイン(東京)は「記念コインが財産の長期保有と知的好奇心を満たす商品として、富裕層を中心に受け入れられている」(広報担当者)と話している。
【時事通信社】
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