- 2023/06/20 掲載
ECBタカ派2人、利上げ主張 レーン専務理事は一時停止否定せず
ECBは15日の理事会で0.25%ポイントの利上げを決定。根強いインフレを踏まえ、次回7月の会合でも利上げを継続する公算が大きいとの見通しを示した。
シュナーベル専務理事はこの日に行った講演で、ユーロ圏のインフレ率はこのほど上方修正された予測も上回るリスクがあるとし、「ECBは引き続きデータに強く依存する必要がある」と指摘。ECBは利上げを控えすぎるよりは、過度な利上げを実施する方向に政策を誤る方が望ましいとの考えを示した。
カジミール・スロバキア中銀総裁もこうした考えを共有。ブログへの投稿で、インフレリスクは上向きとし「7月も利上げを実施し(金利を)一段と制限的な領域へ押し上げる必要がある」と述べ、「金融引き締めの継続が唯一の合理的な道だ」との認識を表明。尚早な利上げ停止は、引き締めが行き過ぎるよりも「はるかに重大」なリスクとも述べた。
一方、レーン専務理事兼主任エコノミストは、ECBは次回7月の理事会でも利上げを決定する可能性が高いとしながらも、決定はデータ次第になるため、9月の理事会について予測するのは時期尚早と指摘。マドリードで開かれたイベントで「現時点でデータ主導であることは間違いない」とし、データに依存することで、1回、もしくは複数回の理事会で利上げを見送り、その後に再開することもあり得るとの考えを示した。
ECBのハト派は、急速な利上げの効果はまだ経済に浸透していないとし、資金調達コストの上昇と経済成長の低迷が相まって物価上昇は自然に抑制されると主張。こうした見方に対しシュナーベル氏は、過度な利上げを行ったとしてもすぐに撤回できるため、リスクは比較的小さいと指摘。インフレの上振れリスクが顕在化してから対応すれば、インフレ期待が不安定化し、物価安定の回復に急激な生産の縮小が必要になるため、コストが高くなる」と述べた。
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