- 2023/06/22 掲載
来年春闘、物価目標実現へ今年上回る賃上げが望まれる=野口日銀委員
[那覇市 22日 ロイター] - 日銀の野口旭審議委員は22日、沖縄県金融経済懇談会後の記者会見で、2%物価目標の実現に向けて来年の春闘は今年を上回る賃上げ率が望まれると述べた。ただ、来年にかけては海外経済の減速が見込まれるため、内需拡大で日本経済全体の回復基調を維持できるかが非常に重要な課題だとの認識を示した。
今年の春闘は第6回集計時点で定期昇給込みの賃上げ率が3.66%となり、30年ぶりの伸び率になったが、「1回で終わってはならない」と話した。物価2%目標を上回るような名目賃金の伸び率が必要だと述べた。
野口委員は、金融緩和を継続して賃上げのモメンタムを維持することが最も重要だと強調。賃金は粘着性が強く、一度上がり始めると急に下がることは考えにくいが「もう少し上げたい」と語った。緩和の継続で失業率や有効求人倍率をコロナ禍前の水準に戻すことができれば、労働市場の改善が賃上げ圧力につながることが期待できるとも述べた。
<YCC修正に否定的>
イールドカーブ・コントロール(YCC)について、野口委員は「イールドカーブのゆがみは現状ほとんどない」と話し、「市場機能を改善するためにあえてイールドカーブを調整する局面ではない」と述べた。現状はYCCによって長期金利を低位安定させ、なるべく早く賃金と物価の好循環を実現し、2%目標達成に向かうことに優先的に取り組む段階だと説明した。
野口委員は、円安基調の継続で「製造業の生産拠点が国内回帰する流れが期待できる」と述べた。ただ、金融政策は「為替を動かすことを目標にしているわけではない」とし、為替は安定して推移することが望ましいと述べた。
(和田崇彦 編集:青山敦子)
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