- 2023/07/02 掲載
通信確保へ「ローミング」導入=KDDI障害受け議論進展
KDDIの大規模通信障害は、生活に必要不可欠となった通信インフラを非常時にどう確保するか問い直すきっかけとなった。総務省や携帯電話各社は急ピッチで議論を行い、2025年度末までに、障害発生時などに他社通信網に乗り入れることができる「ローミング」の導入を決めた。
「携帯電話サービスは国民生活や経済活動に不可欠なライフライン」。通信障害を受けて設置された総務省の有識者会議は6月30日にまとめた報告書で、冒頭にこう明記した。
携帯電話やスマートフォンなどの世帯保有率が9割を超え、通信障害は社会機能を停止させる可能性もある重大リスクとなった。ローミングは、119番などの緊急通報や一般通話、データ通信などを対象としており、自然災害を含めた非常時の通信確保手段として有効とされる。
ローミングの実現には、各社間で運用面など詳細を詰める必要がある。このためKDDIとソフトバンクは今春、互いの通信網を2回線目として割安に利用できる「副回線サービス」を先行して提供開始。また、KDDIは障害検知に人工知能(AI)を活用する通信網強化策に約500億円を追加で投資することも決めた。
ただ、KDDIの障害以降も、法律上の「重大事故」に当たる通信障害が相次ぐ。有識者は、予備回線の使用や公衆電話の位置の把握など「利用者自身も代替手段を日頃から意識することが重要だ」と指摘している。
【時事通信社】
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