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  • アングル:「株高の7月」迎えた米市場、下期占う材料目白押し

  • 2023/07/04 掲載

アングル:「株高の7月」迎えた米市場、下期占う材料目白押し

ロイター

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[ニューヨーク 30日 ロイター] - 米株式市場は好調を維持したまま7月を迎えた。過去を振り返ると7月は株価が上昇しているが、この先の動向を見通す上で重要なイベントも多い。雇用統計や4─6月期(第2・四半期)の企業決算発表、連邦準備理事会(FRB)の金融政策運営をどう消化していくかが焦点となる。

今年前半を振り返ると、S&P総合500種は景気後退(リセッション)懸念や銀行危機をよそに結局15.9%も値上がり。ナスダック総合に至っては上昇率が31.7%と過去40年で最も大きくなった。

向こう数週間上昇トレンドが続くと期待する投資家が引き合いに出すのは、7月が株高の季節であることを示すデータだ。7月は昨年までS&P総合500種が8年連続、ナスダック100指数は何と15年連続でプラスのリターンを確保してきた。

ただエドワード・ジョーンズのシニア投資ストラテジスト、モナ・マハジャン氏は「今年上期の株式市場はかなりしっかりしてきた」と総括した上で、市場にとっては年後半の米経済はどうなるのかという1つの大きな疑問に答えを出す必要が出てくるとくぎを刺した。

幾つかの指標からは、株式市場で楽観ムードが強まっている様子が分かる。米個人投資家協会(AAII)の調査では、強気割合が4週連続で過去平均を上回っている。各銀行が調べているポジション動向でも、投資家が株式向けエクスポージャーをこのところ拡大している状況がうかがえる。

また投資家の不安心理の度合いを表すボラティリティー・インデックス(VIX)は最近、2020年序盤以降の最低水準を記録した。

一方で7月には市場の方向性を大きく左右し得る材料が相次ぐ。その一番手は、7日に発表される6月雇用統計。ここで堅調な雇用の伸びが続いていることが示されれば、今年の株高を後押ししてきた「米経済はFRBの引き締めにもかかわらず深刻なリセッションは回避できる」との見方が改めて裏付けられてもおかしくない。

その後に始まるのが、第2・四半期企業決算の発表だ。金融情報会社リフィニティブのIBESによると、S&P総合500種企業の第2・四半期利益は前年同期比で5.7%減少する見通し。

投資家が注目するのは、今年のS&P総合500種上昇をけん引してきた「マグニフィセントセブン」と総称される7社、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、テスラ、メタ・プラットフォームズ、エヌビディアの業績だろう。

コメリカ・ウエルス・マネジメントのジョン・リンチ最高投資責任者は、この7社がこれまで米国株全体を引っ張ってきた分だけ、業績の下振れ予告を含めて何らかのマイナス材料が発表された場合、最も打撃を受ける銘柄になると強調した。

7月12日には6月米消費者物価指数(CPI)が控える。26日の連邦公開市場委員会(FOMC)に先立つ重要なインフレ指標だ。

FRBは6月のFOMCで政策金利を据え置く一方、年内にあと2回の利上げを実施する意向を示唆した。そのうちの1回は7月というのが大方の予想だ。

今のところ株式市場は、こうした利上げ見通しに動揺する気配は見せていない。しかし債券利回りの上昇が止まらないようなら、事態は変わりかねない。

一般的に金利上昇は債券に対する株式の魅力を低下させるが、ここ数カ月に限ると株価は上昇基調を維持したままだ。

リフィニティブのデータによると、S&P総合500種の予想利益に基づく株価収益率(PER)は19.1倍で、過去平均の15.6倍よりずっと高い。

もっとも、ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・マレー氏は「どこかの時点で、金利上昇は市場に相応の影響をもたらすはずだ」と30日のノートで警鐘を鳴らした。

複数の市場関係者は、株高の持続力を疑問視している。ドイツ銀行の調査では、S&P総合500種で次に10%の値動きが起こるとすれば「下振れ」になると回答した投資家は全体の75%強と、3月時点の24%から急増した。

このような疑念は、利上げが経済に打撃を与えるのではないかとの不安感に裏打ちされている。

UBSグローバル・ウエルス・マネジメントのアナリストチームは最近のノートで、景気後退をさせうる最大の要因は金融政策が一段と引き締め的になることで、これは現時点で株式市場が想定していないと分析した。

「株式市場は既にほぼ完ぺきな(米経済の)ソフトランディングを織り込んでいるので、株式よりも質の高い債券の方がリスク・リワードの面で妙味が大きいとみている」という。

(Lewis Krauskopf記者)

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