- 2023/07/21 掲載
アングル:中国経済失速、欧米企業の第2四半期業績に影落とす
米企業の第2・四半期利益は大幅減少し、利益率はインフレと支出の弱まりが打撃になると予想されている。さらに中国事業を抱える欧米企業は、「ゼロコロナ」政策解除後の景気回復の勢いが急速に衰えてきた影響を受けそうだ。
ベアードの投資戦略アナリスト、ロス・メイフィールド氏は「中国におけるゼロコロナ解除後の経済再開は基本的に全ての指標で期待を裏切る内容になっており、当局が幅広い消費刺激策の実施に消極的なことがセンチメントを圧迫。これが中国に力を入れている欧米企業に波及しようとしている」と指摘した。
実際、スイスの重電大手ABBは20日、中国で第2・四半期の受注が9%減少したと明らかにした。カルティエを展開するリシュモンが今週発表した四半期決算でも、アジア地域の売上高は予想をやや下回った。バーンスタインのアナリストチームはリシュモンの通期見通しについて、中国経済の先行き不透明感によって幾分抑制されると解説した。
テスラが第2・四半期に中国で生産した自動車は過去最高の24万7217台に達した。しかし中国メーカーとの価格競争のために粗利益率は下振れしている。
24日にはNXPセミコンダクターズ、25日にはテキサス・インスツルメンツ(TI)が四半期決算を公表する予定で、中国での半導体需要の最新情勢を探る手掛かりになる。昨年はNXPとTIの売上高全体に占める中国事業の比率はそれぞれ36%と50%だった。
アナリストによると、NXPの売上高は3.2%、TIは16%減少する見込み。リフィニティブのデータに基づけば、TIの減収率が予想通りなら2009年以来の大きさとなる。
アップルやサムスン電子のスマートフォンに使われるゴリラガラスを製造するコーニングが25日に発表する四半期の調整後純利益は21%の減少となる見通し。昨年のコーニングの純売上高に占める中国事業の比率は30%だった。
またアップルの1―3月期の中国売上高は2.9%減と、全体の落ち込み(2.5%)を上回った。4―6月の全体の売上高は1.7%減の816億ドルと、過去2年で最低水準にとどまると予想されている。
米企業の場合は米中両国の貿易摩擦、特に半導体分野の対立に関する不確実性にも直面している。ハンチントン・プライベートバンクのシニアアナリスト、デービッド・クリンク氏は「多くの企業の製造拠点は中国の比重が大きい。では各企業は製造拠点の多角化か、米本国への回帰さえ計画しているだろうか。仮にそうだとしても、より多額のコストが想定され、利益率にのしかかってくる」と述べた。
(Noel Randewich記者)
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR