- 2023/07/21 掲載
英公的部門純借り入れ、4─6月は予想下回る 財務相「財政規律維持」
[ロンドン 21日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が21日発表した4─6月の公的部門純借り入れ額(国有銀行を除く)は大幅な増税を受けて予想を下回った。
ただハント財務相は財政規律を維持する考えを表明、総選挙前に減税を急ぐ意向は示さなかった。
6月の純借り入れ額は185億ポンド(238億ドル)で、前年同月比4億ポンド減。ロイターがまとめた市場予想は220億ポンドだった。
ONSによると、前年同月との比較で税収が増加し利払いが大幅に減少したものの、給付金などの支払い増加でほぼ相殺された。
4─6月の純借り入れ額は544億ポンドと、前年同期比122億ポンド増だったが、予想を75億ポンド下回った。
昨年11月に政府が発表した大幅な増税で税収が増加したため、4─5月の純借り入れ額を70億ポンド下方修正した。
与党・保守党内からは来年にも予想される総選挙を控えて、減税を求める声が出ているが、ハント財務相は「今こそ財政規律を維持する必要がある」とし「われわれは重要な岐路に立っており、無謀な支出を避ける必要がある。今週のインフレ率低下が示すように、インフレ率を半減し経済を成長させ債務を減らすという計画を堅持すれば、結果が出始めるだろう」と述べた。
パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、サミュエル・トゥームズ氏は「次の総選挙までに大幅な減税を実施する余地はないとの見方に変わりはない」と述べた。
世論調査では、次の総選挙で保守党が敗北すると予想されている。保守党は20日に行われた3選挙区の下院補選で2議席を失ったが、辞任したジョンソン元首相の選挙区では予想に反して議席を維持した。
EY・ITEMクラブのチーフ経済顧問、マーティン・ベック氏は「選挙が視界に入っており、追加の財政引き締めは選挙後になる公算が大きい」とし、財政政策の見通しが明らかになるのは選挙後だと述べた。
英国は新型コロナウイルスの流行で借り入れが急増。公的債務は国内総生産(GDP)比100%を超え、第2次世界大戦以来の高水準となった。6月時点の公的債務はGDP比100.8%。
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