- 2023/07/24 掲載
アングル:米銀行の準備金は堅調、流動性低下懸念が後退
財務省は先月に債務上限が一時停止された後、短期証券(Tビル)を通じて会計の建て直しを開始。6月上旬以来、財務省が連邦準備理事会(FRB)に開いている口座「財務省一般口座(TGA)」は約4600億ドル増加している。
一般的に政府借入の増加はFRBの翌日物リバースレポ・ファシリティーに対する需要の減少と合致する。
銀行が新たな債券発行を吸収すると、貸し出す資金が減少。このシナリオを懸念する投資家もいた。
しかし、FRBのデータによると、19日までの週の準備金は約585億ドル増の3兆2200億ドルで、翌日物リバースレポ・ファシリティーに対する需要は873億ドル減少した。
TDセキュリティーズUSAの米国金利ストラテジー担当責任者、ゲンナディ・ゴールドバーグ氏は「リバースレポ・ファシリティーからより多くのキャッシュが流出する中、当面の準備金不足リスクは後退した」と述べた。
「バランスシートの流出が今後数カ月で大きく変化するかどうか注視していくが、現状ではリスクは低下していると思う」という。
FRBの翌日物リバースレポに対する需要は、5月末時点の2兆3000億ドルから今月21日時点で1兆7000億ドルへと着実に減少している。
シティのアナリストはノートで「5月末時点では、6月会合でFRBが依然としてタカ派メッセージを発し、マネー・マーケット・ファンド(MMF)が翌日物リバースレポに資金を維持すると思い、銀行準備金から流出する資金が増えると予想していた」と説明。「しかし、MMFはリバースレポ・ファシリティーからTビル買い入れや民間レポ市場に資金をシフトさせた」という。
FRB当局者は、FRBの債券保有残高を毎月約1000億ドルのペースで削減することを目標に進めており、セクター流動性の全体像を把握するために準備金と翌日物リバースレポ残高の合計を追跡することが増えている。
両者の合計残高は現在5兆3000億ドルで、約2年ぶりの低水準。翌日物リバースレポを中心に4月以来7000億ドル減少しているが、FRB当局者は準備金不足の脅威はまだ感じていない。
シティのアナリストは今後について、財務省の資金調達活動が勢いを幾分失うと見込まれるとして、翌日物リバースレポは減少を続けるものの、そのペースは縮小すると予想している。
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