- 2023/07/27 掲載
悲願の「対等」、過去と決別=EVシフト、挽回急務―日産・ルノー
日産自動車が26日、仏ルノーとの出資関係を「対等」にする最終契約の締結にこぎ着けた。事業規模で上回りながら、ルノーにのみ込まれるのではないかとおびえ続けた過去と決別し、再出発を図るのが悲願だった。2018年に起きた前会長カルロス・ゴーン被告の逮捕劇以降、日産社内は一枚岩とは言えない状況が続き、業績は停滞した。今後は世界で加速する電気自動車(EV)シフトで挽回を急ぐ。
「また何かあるんじゃないかと思いながらの提携関係を払拭したかった」。内田誠社長は対等出資への思いをこう打ち明けた。ルノーが43%の日産株式を握っている限り、買収されるのではとの疑念がつきまとう。今回の合意でルノーが信託会社に預ける日産株式28%分について、内田社長は「ある程度買っていくことは考えていきたい」と、一定程度を買い戻す考えを示した。
ただ、買い戻しはルノーが保有株の売却に応じる水準まで日産の株価が上昇することが前提。それにはEVシフトへの対応が急務だ。とりわけ中国市場で日産を含めた日系各社は対処し切れず、大幅な販売減を余儀なくされている。米国市場でも、EV優遇税制の適用を受けるために電池や部品などの現地生産を強化する必要に迫られるなど、課題は山積している。
ルノーのEV新会社「アンペア」に参画することで、欧州市場で急速に進む環境規制強化への対応や、経営基盤を安定させる規模の確保などは期待できる。一方で、両社に三菱自動車を加えた3社連合は、22年の世界販売台数で、韓国・現代自動車グループに抜かれて4位に後退した。トヨタ自動車や独フォルクスワーゲンの背中は遠い。
米テスラや中国の比亜迪(BYD)など、新たなプレーヤーが急速にEV市場を拡大させる中、「電動化を個社で進めるのは厳しく、アライアンスで相互補完しながら進める戦略を描く必要がある」(内田社長)。ガソリン車では日系メーカーの収益源だった東南アジアでも、中国メーカーのEV攻勢は既に始まっており、待ったなしの状況だ。
【時事通信社】 〔写真説明〕日産自動車とルノーのロゴマーク 〔写真説明〕資本提携発表の記者会見で握手する日産自動車の塙義一社長(左)と仏ルノーのシュバイツァー会長(肩書は当時)=1999年3月、東京・大手町
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