- 2023/08/03 掲載
アングル:想定外の日本株安、日銀修正の余波も 金利上昇を警戒
格付会社フィッチによる米長期債の格下げを受けて2日の米国市場では米株安となったが、日経平均は前日に一時800円超安と大きく下げており「織り込みは進んだ。売りが一巡すれば買い戻しが入る」(国内証券のストラテジスト)との見方が多く聞かれた。
ところが日経平均は、300円超安で寄り付いた後も500円超安へと「想定以上」(国内運用会社のストラテジスト)に下げ幅を拡大させた。この日の米株先物は小動きで、リスクオフが強まっている様子がみられない中で、米債格下げをいったん織り込んだはずの日本株の下げは深まった。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「長期金利がじわじわ上がってきていることを、株式市場も気にしている可能性がある」との見方を示す。
日本の長期金利は一時、2014年1月以来9年半ぶり高水準の0.655%まで上昇し、日銀が金利の上昇をどこまで容認するかを試すような動きとなった。長期金利が上昇すれば、PER(株価収益率)の高い銘柄を中心に割高感につながりネガティブになる。
<複合要因>
さらに、足元では、円安が株高につながらなくなってきたとの認識もある。日銀が午後1時、臨時の国債買入れオペを通告すると、ドル/円は一時143円後半に上昇したが、株式市場では6月につけた目先の高値145円が上値に意識されており「さらに円安に向かうというより、円高に転じるリスクがあるため、素直に円安を評価できない」と、みずほ証券の三浦豊エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストは話す。
米金利上昇によって米株が弱い中での円安は「ドル建てのパフォーマンス低下につながることから、海外勢の買い手控えを誘いやすい」(三浦氏)との見方もある。
米株に関しては、「数日間は不安定になり得る」と、大和証券の木野内栄治テーマリサーチ担当ストラテジストはみている。フィッチが5月に米債をネガティブに引き下げた際や、2011年にS&Pが格下げした際にも数日間、米株安となった。
米株は年初来高値圏にある上、夏枯れの中で商いが細っていく方向にあり、ボラティリティが高まる可能性が警戒されている。
米国のインフレは6月までベース効果で伸びは鈍化傾向にあった。ただ、米雇用統計の発表を明日に控える中、7月以降はベース効果が薄れて伸び鈍化が鈍るリスクが懸念されている。
日本株をテクニカル面からみた場合、TOPIXのチャートは上値を切り上げている一方、下値を切り下げる「拡大型」と呼ばれる形状で「地合いがもろい」(大和証券の木野内氏)とされ、下値模索が警戒されている。
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