- 2023/08/04 掲載
NY市場サマリー(3日)ドル下落、長期債利回り高水準 株横ばい
<為替> ドルが4週間ぶりの高値から下落した。雇用統計を明日に控え、この日発表された雇用関連指標の影響度が薄かったことや、国債利回りが上昇したものの短期ゾーンでは売り圧力が和らいだことが背景。
第2・四半期の非農業部門の労働生産性(速報値)は年率換算で前期比3.7%上昇した。同時に、労働コストの伸びは鈍化し、インフレ見通し改善につながる可能性がある。
7月29日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から6000件増の22万7000件と、市場予想と一致した。一方、労働市場の逼迫が続く中、7月の雇用削減数は11カ月ぶりの低水準となった。
UBS(ニューヨーク)のFXマクロストラテジスト、バシリ・セレブリアコフ氏は「米国の経済データは、世界の他の地域と比較してかなりの耐性を示している」と述べた。
投資家が低金利の通貨で借り入れを行い、ドルやドル建て資産に投資するキャリー・トレードもドル下支え要因となっている。
ドル指数は0.039%下落した。
市場は4日発表の雇用統計に注目している。
イングランド銀行(英中央銀行)は3日、政策金利を5.00%から0.25%ポイント引き上げ、15年ぶりの高水準となる5.25%とした。
ただ、引き上げ幅が小幅だったとして英ポンドは引き続き下落基調となり、前日比0.07%安の1.27ドルとなった。
安全資産とされる日本円は1ドル=142.72円と0.40%上昇。リスク回避の動きから恩恵を受けた。これより先、1ドル=143.89円と4週間ぶりの安値まで下落していた。
ユーロは0.04%上昇の1.094ドル、豪ドルは2カ月ぶり安値の0.6514米ドルを付けた。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 長期債利回りが9カ月ぶりの高水準を付けた。米経済指標を受け、午後も高水準を維持した。
指標10年債利回りは11.3ベーシスポイント(bp)上昇の4.191%。序盤には4.195%と11月以来の高水準を付けた。
30年債利回りは14.3bp上昇の4.308%。20年債利回りは4.494%となった。両利回りとも11月以来の高水準を記録した。
米債の大量供給も利回り上昇の一因という。米財務省は2日、四半期定例入札(クオータリー・リファンディング)における米債の発行規模を第3・四半期に「漸増的に」引き上げると発表。来週の入札では3年債(420億ドル)、10年債(380億ドル)、30年債(230億ドル)の計1030億ドル相当を発行する。
エコノミック・アウトルック・グループの首席グローバルエコノミスト、バーナード・バウモル氏は「米債の大量供給が明らかな場合、その時点で米債利回りは上昇する」と指摘。一方、特に10年債利回りはピークに近いか達したとの見方を示し、インフレ鈍化が続けば年内は3.6─4.0%の範囲で推移すると見込んだ。
ソシエテ・ジェネラルで米国金利戦略の責任者を務めるスバドラ・ラジャッパ氏は「市場がなお織り込む11月の連邦公開市場委員会(FOMC)までの利上げ確率は30%になっている」と述べた。
経済指標を受け、短期債利回りは低下。2年債利回りは4.895%だった。
2・10年債の利回り格差は一時マイナス69.6bpとマイナス幅は過去2カ月間で最小となった。終盤はマイナス70.5bp。ここ3営業日は連続してスティープ化している。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 不安定な展開となった後、ほぼ変わらずで終了した。米国債利回りの急上昇や一連の経済指標、企業決算などの材料を見極めたいというムードが強かった。
長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.198%と昨年11月以来の高水準を付けた。
米労働省が発表した7月29日までの1週間の新規失業保険申請件数は前週から小幅増となり、7月の雇用削減数は11カ月ぶりの低水準となった。
市場は4日発表の7月雇用統計に注目している。
S&Pの主要11セクターのうち8セクターが下落。金利に敏感とされる公益事業と不動産が2.3%と1.4%、それぞれ下落し、全体の下げを主導した。
アマゾンとアップルは引け後に四半期決算を発表。アマゾンは時間外取引で急騰し、アップルは下落した。
半導体大手クアルコムは8.2%急落。同社の軟調な業績見通しで先行き懸念が強まった。
決済サービス大手ペイパルは12.3%安。第2・四半期の営業利益率への失望感で売られた。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米長期金利の上昇を背景に売りが優勢となり、3日続落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比6.20ドル(0.31%)安の1オンス=1968.80ドル。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 主要産油国のサウジアラビアとロシアがそろって供給を削減する方針を表明したとの報を受け、3日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物の清算値(終値に相 当)は前日比2.06ドル(2.59%)高の1バレル=81.55ドルだった。10月 物は1.95ドル高の81.08ドル。
国営サウジ通信(SPA)がエネルギー省関係者の話として伝えたところでは、石油輸出国機構(OPEC)盟主であるサウジは3日、7月に開始した日量100万バレルの自主減産を9月も継続する方針を明らかにした。サウジの発表後、ロシアのノバク副首相も9月に原油輸出を同30万バレル減らす方針を表明した。
一方、米エネルギー情報局(EIA)が2日発表した7月28日までの1週間の米石油在庫統計によると、原油在庫の取り崩し幅は前週比1700万バレル減と市場予想を大幅に上回った。減少幅は1982年の集計開始以来最大。これらを背景に需給逼迫観測が強まり、買いが膨らんだ。
OPEC加盟国と非加盟の産油国で構成するOPECプラスは4日、オンライン形式で共同閣僚監視員会(JMMC)を開く。複数の関係筋によると、供給不足と需要回復を背景に原油価格が上昇していることから、現行の石油生産方針を見直す公算は小さい。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 142.54/142.57
始値 142.91
高値 143.00
安値 142.07
ユーロ/ドル NY終値 1.0944/1.0948
始値 1.0932
高値 1.0962
安値 1.0916
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 88*25.00 4.2960%
前営業日終値 90*26.50 4.1650%
10年債(指標銘柄) 17時05分 93*19.00 4.1792%
前営業日終値 94*12.00 4.0780%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*08.25 4.2917%
前営業日終値 99*15.50 4.2410%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.00 4.8831%
前営業日終値 99*23.50 4.8910%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 35215.89 -66.63 -0.19
前営業日終値 35282.52
ナスダック総合 13959.72 -13.73 -0.10
前営業日終値 13973.45
S&P総合500種 4501.89 -11.50 -0.25
前営業日終値 4513.39
COMEX金 12月限 1968.8 ‐6.2
前営業日終値 1975.0
COMEX銀 9月限 2369.7 ‐17.5
前営業日終値 2387.2
北海ブレント 10月限 85.14 +1.94
前営業日終値 83.20
米WTI先物 9月限 81.55 +2.06
前営業日終値 79.49
CRB商品指数 278.4771 +1.9754
前営業日終値 276.5017
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