- 2023/10/19 掲載
半導体統合、調整が難航=交渉大詰めもSK反発―キオクシア・WD
半導体大手キオクシアホールディングスが同業の米ウエスタンデジタル(WD)と進める統合交渉に対し、キオクシアに間接出資する韓国大手SKハイニックスが反発し、調整が難航している。交渉は既に大詰めで、月内の合意を探るが、SKの同意が依然得られない。代案として、ソフトバンクグループ(SBG)など資金力のある企業に出資を仰ぐ構想も浮上し、情勢はなお流動的だ。
キオクシアは東芝の半導体メモリー事業が母体で、2018年に米投資ファンドなどの連合に売却された。WDとは三重県四日市市や岩手県北上市の工場運営などで協業関係にあり、21年ごろから規模拡大による資金調達力の強化を目指し、統合交渉を重ねてきた。
統合案では、新設する持ち株会社の下にWDの半導体メモリー部門とキオクシアを置く。実現すれば、スマートフォンなどに使われるNAND型フラッシュメモリーで世界シェアの3割を握り、首位の韓国サムスン電子にほぼ並ぶ規模になる。
キオクシアは統合に伴う既存融資の借換資金などとして、三井住友銀行などメガバンク3行と日本政策投資銀行に融資を要請。銀行団は20日にも2兆円弱の融資を約束する方向で調整してきた。
だが、米ファンド経由で15%弱を出資するSKはこの動きに猛反発。将来の関係強化をにらんで資金を出した経緯に加え、統合会社にNANDのシェアで大きく差をつけられる点も不満で、難色を示している。
SKは議決権を持たないが、米ファンドを介して影響力を行使することは可能で、金融筋からは「事実上約15%を握る株主が大反対している中でまとまるのか。融資の約束を得ることと統合合意は違う」との声が漏れる。
交渉関係者の間では、WDとの統合が難しい場合、SBGなどの有力企業にキオクシアへの出資を求める案も取り沙汰され始めた。SBGは傘下に英半導体設計大手アームを抱え、連携に関心を持つ可能性がある。ただ、半導体の製造はリスクが大きいだけに、応じるかどうかは不透明だ。
【時事通信社】
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