- 2023/10/19 掲載
景気判断6地域で引き上げ、海外経済鈍化で生産は据え置き=日銀
[東京 19日 ロイター] - 日銀は19日に公表した地域経済報告(さくらリポート)で、全9地域中、北海道・東北・北陸・関東甲信越・中国・四国の6地域について景気判断を引き上げた。個人消費について5地域で判断を引き上げる一方で、生産の判断は全地域で据え置きとなった。車載向け半導体の調達環境は改善がみられたが、海外経済の回復鈍化が重しとなった。
日銀は、海外経済の回復ペース鈍化や物価上昇の影響を受けつつも、全ての地域で景気は持ち直し、あるいは緩やかに回復していると総括した。
同時に公表した支店長会議の概要によると、来年度の賃金について、構造的な人手不足を背景に賃上げの継続を見込むものの、賃上げ幅は「来年春闘に向けた競合他社の動向や物価の推移などを見極めていく姿勢の企業が多い」との報告があった。収益面の厳しさから、賃上げに慎重な中小企業などの声も紹介された。
企業の価格設定については、これまでのコスト上昇分を転嫁する動きがペースを鈍化させながらも続いているとの報告が多かった。将来の賃上げを見越した価格設定の動きが一部でみられているとの指摘もあった。
最近の変化としては、消費者の節約志向の強まりで値上げの抑制や一部商品の値下げの動きがあるとの報告がなされた。多くの地域から、実質賃金がマイナスになる下でスーパーなどでの低価格商品へのシフトや買い上げ点数の減少など、消費者の節約志向の強まりを示す事例も紹介された。
足元の原油高や為替円安が「新たなコスト上昇圧力になる」と懸念する企業の声も指摘された。
(和田崇彦 編集:田中志保)
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