- 2025/05/19 掲載
債券市場の機能度、5月は-44に急落 米関税発表後に流動性低下=日銀
[東京 19日 ロイター] - 日銀が19日発表した「債券市場サーベイ」の5月調査によると、債券市場の機能度に対する市場参加者の見方を示す機能度判断DIはマイナス44に急落した。2月の前回調査(マイナス13)を大きく下回り、9四半期ぶりの悪化。2023年5月調査以来の低水準だった。トランプ米大統領の相互関税発表後に荒い値動きとなる中、特に超長期債の流動性低下が市場全体の機能度悪化に影響した。
調査期間は5月1─9日。日銀の国債売買オペ先や大手機関投資家など75社を対象に調査した。機能度判断DIは機能度が「高い」と答えた割合から「低い」と答えた割合を差し引いた数字で、マイナスの数字が大きいほど市場機能が低下していると判断している市場参加者が多いことを意味する。
機能度判断DIは前回比31ポイントの悪化となり、15年2月の統計開始以降で最大の悪化幅となった。日銀の担当者は市場機能の急速な悪化の背景として、米国の相互関税発表で日本の債券市場でもボラティリティが拡大し「超長期債を中心に流動性が大きく低下したとの声が多く聞かれた」と説明した。
機能度判断DIのうち「3カ月前と比べた変化」はマイナス47で、前回のプラス15から一転して大幅なマイナスになった。債券市場の機能度や流動性に関する項目は全7項目が悪化。このうち、最も高い買い値と最も安い売値の差である「ビッド・アスク・スプレッド」の判断DIはマイナス24からマイナス49に急落。23年2月調査以来の低い水準となった。
日銀は20日から債券市場参加者会合を開き、6月の金融政策決定会合で行う国債買い入れ減額計画の中間評価に向けて意見を聴取する。機能度の大幅悪化もあり、超長期債の扱いを巡る参加者の意見が注目される。
野村証券の岩下真理・エグゼクティブ金利ストラテジストは、日銀は超長期債の需給悪化を「中長期的な課題」として認識しているとみられるものの、今回の中間評価で超長期債の買い入れに配慮を示す可能性は低いとみている。
<金利見通し>
金利見通しは軒並み前回より上方にシフトした。10年債利回りの中央値は、25年度末が1.50%(前回は1.50%)、26年度末が1.60%(同1.50%)となった。今回追加された27年度末は1.70%。
20年債利回りの中央値はそれぞれ2.35%(同2.10%)、2.40%(同2.20%)、2.45%。30年債利回りは2.80%(同2.42%)、2.80%(同2.50%)、2.85%となった。
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