- 2025/07/16 掲載
中国、景気先行きに警戒感=輸出前倒しの反動必至
【北京時事】中国の1~6月期の経済成長率は5.3%と、政府が今年の目標に掲げる「5%前後」を上回った。消費てこ入れ策に加え、米国との貿易摩擦激化を懸念した企業による輸出の前倒しが寄与した。ただ、下半期にその反動が出るのは必至。景気の先行きに対する警戒感は根強い。
◇海外需要が一巡か
米中間で高関税の相互引き下げが決まった直後の5月下旬。湖北省の武漢港では、複数のコンテナ船で荷物の積み下ろし作業が行われていた。港の担当者によると、海外向け取扱量は貿易摩擦が激しさを増した4月に一時落ち込んだ後、持ち直したという。
国家統計局の盛来運副局長は15日の記者会見で、1~6月期の成長率に対する輸出の寄与度が3割超だったと説明。米中合意に伴う関税の大幅な引き下げは8月前半までの時限措置のため、中国企業からは「例年よりも出荷を早めた」(遼寧省の機械メーカー)といった声も上がる。
だが、中国経済メディアの財新によると、米中間のコンテナ輸送価格は6月上旬をピークに値崩れしている。下半期の中国の輸出を楽観する向きは少ない。
◇消費にも不透明感
成長を下支えしている消費の先行きにも不透明感が漂う。6月の小売売上高は前年同月比4.8%増と堅調だったが、飲食は0.9%増と、前月から5.0ポイント低下した。政府が公務員に高級店の利用を控えるよう指示したため、一気に落ち込んだもようだ。
底打ちしたとの見方があった不動産価格も再び下落している。雲南省昆明にある中国西南部有数の巨大商業施設では7月中旬、多くのテナントが退去しており、買い物客の姿もまばら。統計局が15日公表したデータによると、昆明の新築住宅販売価格の下落率は全国トップクラスだった。市内では建設が止まったマンションが目に付いた。
統計局の盛副局長は会見で、政府が目標に掲げる「年5%前後」の成長率達成に自信を示しながらも「外部環境には不確実性があり、内部的な調整圧力も強い」と景気の先行きに懸念を隠さなかった。世界銀行は中国の今年の成長率を4.5%と予想。市場では下半期に政府が景気てこ入れ策を一段と加速させるとの観測が広がっている。
【時事通信社】 〔写真説明〕武漢港を通過するコンテナ船=5月23日、中国・武漢 〔写真説明〕武漢港のコンテナ積み下ろし作業=5月23日、中国・武漢 〔写真説明〕テナントが撤退した商業施設=11日、中国雲南省昆明
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