- 2025/08/22 掲載
FRB当局者、9月利下げに消極的 ジャクソンホール前に発言
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言に注目が集まる中、21日に発言したFRBの3人の当局者は9月の利下げに消極的な姿勢を示した。
米クリーブランド地区連銀のハマック総裁は「ジャクソンホール会議」の合間にヤフー・ファイナンスのインタビューに応じ、足元の経済情勢を踏まえると、FRBが利下げに踏み出す時期ではないという認識を示した。「私はどの会合にもオープンな姿勢で臨んでいる」としつつも、「現在手元にあるデータや情報を踏まえると、もし会合が明日開かれれば、利下げの根拠は見いだせないだろう」と語った。
カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁はCNBCのインタビューに対し、インフレ率がFRB目標の2%をなお上回り、労働市場が堅調なことを踏まえると、利下げを急ぐ必要はないと述べた。また、現時点ではインフレを巡るリスクが労働市場が悪化するリスクを上回っているとの見方も示した。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、年内の利下げを依然として予想していると述べたものの、いかなる予測も不確実性を伴うものであり、「私は何にも固執していない」と付け加えた。
投資家は、22日に予定されているパウエル議長の講演で、FRBが9月16─17日米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを行うかどうかについて明確な手がかりが得られることを期待している。
金融市場は、FRBが9月会合で政策金利を0.25%ポイント引き下げるとみており、パウエル議長が実際にそのようなシグナルを送る可能性もある。7月の雇用統計が予想外に弱かったことに加え、5月と6月の雇用者数も大幅に下方修正されたことで、利下げへの期待が高まった。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、FRBが9月に政策金利を0.25%引き下げる確率は70%と見込まれている。
ゴールドマン・サックスのアナリストらは、パウエル議長の22日の発言が「9月の利下げを決定的に示唆するものではないが、議長が利下げを支持する可能性が高いことを市場に明確にするはずだ」と述べた。
FRBの政策担当者にとっての課題は、労働市場の弱体化の兆候がある一方、インフレ率は中央銀行の目標である2%を上回っており、トランプ政権による輸入関税の引き上げでさらに上昇する可能性があるということだ。
ハマック氏は「私の最大の懸念は、過去4年間インフレ率が高すぎたこと、そして今まさにそれが間違った方向に進んでいることだ」と指摘。企業は関税関連の値上げを控えようとしているが、この傾向は長くは続かないだろうとの見方を示した。
FRBのウォラー理事ら一部のFRB政策担当者は、関税の影響は一時的なものにとどまるとしている。しかし、ハマック氏はインタビューで「理論と実践は全く異なる可能性がある」と指摘し、現時点での利下げに対する慎重な姿勢を強調した。
シュミッド氏も、インフレ率がFRBの目標を大きく上回っていることから、当局は今金利を引き下げれば国民の期待にどのような影響を与えるかを考慮する必要があると指摘した。「短期金利の引き下げがインフレ心理にどのような影響を与えるかについて慎重になるべきだと思う」と述べた。
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