- 2025/09/02 掲載
FRB、独立性失えば借入コスト上昇 混乱も=シュナーベルECB理事
[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は、米連邦準備理事会(FRB)の独立性を制限すれば、借り入れコストを下げるどころか逆に押し上げ、世界の金融システム全体を混乱させる恐れがあると指摘した。
トランプ米大統領はFRBに執拗に利下げを要求し、応じないパウエル議長を「愚か者」「間抜け」と呼び、解任を示唆してきた。
先月にはこうした圧力を拡大し、クック理事を解任すると表明。現代の中央銀行制度の基盤である政治的干渉を受けずに機能するFRBの能力に重大な法的試練をもたらした。
シュナーベル氏はロイターのインタビューで「中央銀行の独立性を損なういかなる試みも、中長期金利の上昇につながるだろう」と指摘。
「中銀の独立性がもたらす利点は歴史が明確に示している。リスクプレミアムを低下させ、家計、企業、政府の資金調達環境を緩和する」と述べた。
トランプ氏は投資を促進し、高金利の住宅ローンを抱える借り手を救済するために利下げを要求している。
しかし、政治的な動機による利下げは、インフレ上昇を容認する姿勢を示唆し、金融政策の確実性を頼りに数兆ドルの米国資産を保有する投資家の信頼を損なうことになる。
シュナーベル氏は「私はそうならないことを強く願っているが、もしFRBの独立性が失われた場合、世界の金融システムに非常に大きな混乱をもたらし、ECBにも影響を及ぼすだろう」と述べた。
そうした信頼の喪失は、短期金利よりも、住宅ローンや企業向け融資と関連性の高い長期借り入れコストを押し上げ、資金調達負担を軽減しようとするFRBの取り組みを台無しにする恐れがある。
シュナーベル氏は、米国がより高いインフレを輸出する可能性もあると述べ、パンデミックの主な教訓は各国が世界的なインフレの進行を抑制するのは困難だということだと指摘した。
こうした信頼の喪失は国際金融システムにおけるドルの優位性を脅かす可能性もあるが、現時点ではドルに代わる選択肢はないという見方を示した。
一部の欧州当局者は、米国の政策に対する不信がユーロに市場シェア拡大の機会をもたらす可能性があると主張しているが、シュナーベル氏は世界はまだドルの優位性なしで機能する準備ができていないと指摘した。
「大きな問題はドルが現在の地位を維持できるかどうかだ」とした上で、「私は維持できると考えている」と語った。
「しかし、もしそれができなかったら、明確な代替手段がないため、世界金融システムに何が起こるかは不明だ。世界金融システムは基軸通貨としてのドルなしで容易に成り立つ状況にはない」と述べた。
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