- 2025/09/02 掲載
三菱UFJ、国内不動産に1000億円投資 ファンド新設
[東京 2日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループが不動産運用事業を拡大している。グループで不動産運用を手掛ける中核会社の三菱UFJ不動産投資顧問(MUREAM)の内田直克社長はロイターとのインタビューで、1000億円規模の国内不動産に投資するファンドを新たに立ち上げることを明らかにした。「金利ある世界」の到来で高まる投資家の需要を取り込み、運用資産の拡充を強化する。
新設するファンドは、空室や老朽化など課題を抱える不動産を取得し、改修・リーシング・運営改善で収益力と資産価値を高め、賃料の上振れや売却益で、より高いリターンを狙うバリューアッド型。同商品を扱うのは初めてで、内田社長は「金利ある世界で、投資家のリターン目線が高まっている」と説明する。
国内の生命保険会社や銀行、事業法人などの機関投資家から約300億円をエクイティとして調達する計画で、すでにマーケティングを開始、「投資家の感触は良い」という。借入金を含む投資総額は1000億円を見込む。
投資対象は、東京・関西・名古屋を中心とする中規模オフィス、賃貸レジデンス、ホテル。外資系ファンドの参入などで調達競争が激しくなる中、案件ソーシングの要はグループ連携だ。グループの持つ信用力とネットワークを背景に、ディールのソーシングや資金調達力で優位性を持つとし、CRE(企業不動産の戦略活用)を起点に市場外案件の掘り起こしも進める。
MUFGは成長戦略の重点分野の一つにアセットマネジメント事業を位置づけ、23年10月に不動産運用の体制を再編。2024年4月には三菱UFJ信託銀行の不動産私募ファンドに関する取得・運用・管理機能を統合し、新生MUREAMが本格始動した。
MUREAMは25年8月末時点で預かり資産5000億円超。次期中期経営計画の最終年度である30年3月末までに1兆円(インオーガニック含まず)を目標に掲げる。内田社長は「市場での存在感を示す上では達成しておかないといけない水準」と述べた。
27年3月までの現中計は「土台づくり」と位置づけ、1兆円体制に向けて「人材がボトルネックになり得る」との認識から人員の拡大を加速している。本格始動後に既に倍増し、現在約70人の人員を、今後は約90人まで増やすという。
商品ラインナップも拡充しており、バリューアッド型ファンドの投入はその一環。内田社長は現在有していない上場REIT(不動産投資信託)について関心を示し「事業拡大には必要で、買収も検討したい」と語った。
MUFGとしては4月、これとは別の不動産ファンドの立ち上げも発表。今後3年間で1000億円を投じるとしている。
※インタビューは1日に実施しました。
浦中美穂 取材協力:Sam Nussey
最新ニュースのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR