- 2025/09/02 掲載
米関税の影響大きくなければ「利上げ方向」、見極めは難しい=氷見野日銀副総裁
Takahiko Wada
[釧路市(北海道) 2日 ロイター] - 日銀の氷見野良三副総裁は2日午後の記者会見で、米関税の影響について「基本的にはこれから出てくる」とみているが、それほど大きく表れないと確認できれば「利上げ方向に働く要因になる」との見方を示した。ただ、企業からのヒアリング情報や内外の経済指標を注視していく一方で、いつまで見極めるのかの判断は難しいと話した。
一方、日銀保有の上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の処分を始める時期については「具体的に申し上げるだけの準備はない」として明言を避けた。
氷見野副総裁は米関税の影響について「世界全体として不確実性が残っている」と指摘。経済については「下方向のリスクにより注意する必要がある」と話した。
午前の金融経済懇談会のあいさつでは、基調的な物価上昇率が「2%にかなり近づいてきている」と述べたが、会見では、具体的にどの程度なのか「ゾーンを狭める表現は差し控えたい」とした。
米国では米連邦準備理事会(FRB)の金融政策運営を巡り、トランプ大統領からの圧力が強まっている。またベセント財務長官は、一部メディアのインタビューで、日銀の金融政策が「後手に回っている」と述べた。
氷見野氏は一連の動向や発言へのコメントを控えるとした上で、中央銀行の独立性とアカウンタビリティは「長い目で、通貨に対する信認を確保する上で大切な工夫だ」との認識を表明。金融政策運営に当たっては、先走りにも後手にもならないよう「両方に気を付けながら適切な政策運営に努めていきたい」と述べた。
足元の物価高は、需要サイドよりも供給サイドの要因によるところが大きい。氷見野副総裁は、金融政策は需要に対して直接効果があるため、需要ショックの場合は政策判断がしやすいが、供給ショックの場合は「需要ショックの時よりさらに悩んで判断していくことになる」と語った。
最新ニュースのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR