- 2025/09/04 掲載
FRB当局者、労働市場巡るリスク懸念 利下げ後押しも
[3日 ロイター] - 複数の米連邦準備理事会(FRB)当局者は3日、労働市場を巡る懸念が引き続き今後の利下げ見通しを後押しするとの見方を示した。
ウォラー理事はCNBCのインタビューで「次回の会合で利下げを開始すべきとの考えを明確にしてきた」と述べ、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを支持する立場を改めて表明。「労働市場が悪化する前に、先手を打っておく必要がある。通常、労働市場が悪化すると、急速に悪化が進むからだ」と述べた。
同氏はさらに、今月16─17日のFOMCで利下げを行っても、金融政策を金利引き下げの既定路線に乗せるわけではなく、FRBの政策決定は経済指標次第だと述べた。同時に「今後3─6カ月間で複数回の利下げが実施される可能性がある」とも語った。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁も利下げの可能性に言及したが、時期については明言を避けた。
同総裁はエッセイで「現時点で政策はやや引き締め的だ」とし、「物価安定は依然として最大の懸念事項だが、労働市場が十分に減速しているため、年内に恐らく25ベーシスポイント(bp)程度の幾分の緩和が適切になる」との見方を示した。
ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は講演で、中立金利は3%前後との認識を示した上で、「金利が今後数年間で緩やかに低下する余地があることを示唆している」と述べた。貿易政策によって生じた不確実性を踏まえ、適切な利下げ時期については発言を控えた。
多くのFRB当局者や民間エコノミストはインフレ率がなお高く、トランプ政権の大幅な関税引き上げによってさらに上昇する可能性が高いと懸念している。
カシュカリ氏は「インフレは依然として高すぎる半面、労働市場は冷え込みの兆候を見せている」とし、FRBは二大責務両面のバランスを取るという「難しい立場に立たされている」と述べた。
同時に、幅広いデータが労働市場の悪化を示しており、一部のFRB当局者は雇用面の責務により重点を置きつつある。
セントルイス地区連銀のムサレム総裁はピーターソン国際経済研究所での講演で「私は労働市場の下振れリスクに関する評価を若干引き上げた。基礎的な完全雇用の指標の一部に悪化が見られたためだ。また、インフレ上振れが持続するリスクに関する評価を若干引き下げた。関税転嫁によるインフレへの影響が今のところ低くとどまっていることなどが理由だ」と述べた。
ただ、金利見通しについてはほとんど手掛かりを示さず、現在の経済指標を踏まえるとFRBの金融政策は適切な水準にあると述べるにとどめた。また、労働市場は緩やかに悪化し、インフレ圧力は関税の影響で短期的に上昇するものの、来年後半には2%に低下すると予想した。
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