- 2025/09/05 掲載
トランプ氏対FRBの構図、市場が波乱要素として警戒
[4日 ロイター] - トランプ米大統領が金融政策へ自身の影響力を行使しようとして連邦準備理事会(FRB)と対立する構図について、金融市場は向こう半年間の新たな波乱要素になるかもしれないと想定している。複数のエコノミストが「ロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラム」で警告した。
トランプ氏はパウエルFRB議長が利下げをしないと執拗に批判しているほか、クックFRB理事解任に乗り出し、側近のミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を新たなFRB理事に指名。こうした一連の騒動により、投資家のFRBに対する信頼がじわじわと弱まっている。
アバディーンのシニア調査エコノミスト、スリー・コチュゴビンダン氏は「市場は今のところ落ち着いている。(しかし)この話で数カ月中に地合いが悪化してもおかしくない」と述べた。
またコチュゴビンダン氏は、特に連邦公開市場委員会(FOMC)の政策運営姿勢が「(インフレと景気のバランスを勘案した短期金利設定の目安である)テイラー・ルール」からかい離し始めるとすれば、来年2月のFRBの構成変更が持つ意味がより重要になるとの見方を示した。
ベセント財務長官はFRBの構造上、大統領が理事会を自身の息のかかった人材で固めることはできないと発言している。しかし複数の報道によると、トランプ氏は12の地区連銀総裁の選出・再任方法を見直すことで、影響力を及ぼそうとしているという。
ペッパーストーンのシニア調査ストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は「トランプ氏派」が多数を占めるFRB理事会が、地区連銀総裁人事において何人かの再任を拒むというリスクは恐らく過小評価されていると指摘。これまで形式的な手続きと見なされてきたが、今回はより政治的な影響が働くことが分かるのではないかと付け加えた。
TSロンバードのチーフ米国エコノミスト、スティーブン・ブリッツ氏は、トランプ政権の動きは中央銀行の独立性という問題にとどまらず、FRBの解体に至る可能性を秘めていると分析した。
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