- 2025/10/04 掲載
IMF報告書、国家産業政策はリスク伴うと指摘 米国には触れず
[ワシントン 3日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は3日、特定の企業や部門への公的支援を通じて経済の立て直しを図ろうとする国が増えているが、補助金などの産業政策はコストがかかり、慎重に活用しなければ効果が出ない可能性があると指摘した。
近く発表される「世界経済見通し」の1つの章で、産業政策は各国が生産を国内に移管し、対象分野で世界の他の国々に追いつくのを後押しする可能性があるものの、同時に消費者物価の上昇を招き、資源の誤った配分につながる可能性もあると述べた。
欧州連合(EU)、中国、ブラジル、韓国の産業政策を検証したこの章では、適切に設計され、対象を絞った支援は各産業セクターを助ける可能性がある一方、補助金は明確な目的を持って慎重に策定され、構造改革と並行して実施される必要があると結論付けている。
2009年から22年までに実施された全ての産業政策の3分の1はエネルギー部門に焦点を当てたものだったという。
報告書は米国については触れていないが、トランプ米政権はここ数カ月、半導体メーカーのインテルなど経営難に陥った企業の株式取得を含むいくつかの産業政策手段を導入している。
<政策にはコストも>
IMFは、産業政策は適切に対象を絞った場合でもコストがかかることがあり得ると指摘。生産の相当部分を域内に取り込むためにクリーン技術補助金を充てるには、EUのGDP(域内総生産)の約0.4%がかかる可能性があるとした。
また、中国は長年、電気自動車や半導体など優先分野を支援するために産業政策ツールを活用しており、11─23年にGDP(国内総生産)の約4%を産業政策に費やしたと推計される。
IMFによると、一定の成果があったものの、構造モデル分析ではこれらの政策によって中国の総生産性は1.2%、GDPは最大2%下押しされたことが示されたという。
IMFは、EUでは企業への政府支援が22年にGDPのほぼ1.5%でピークに達したと述べ、各国政府が提供する資金が競争をゆがめ、EU単一市場における公平な競争条件を損なった可能性があると指摘した。
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